最新 地学事典 「低速度層」の解説
ていそくどそう
低速度層
low-velocity layer
地震波の速さが,その上下と比べて遅くなっている層。ふつうにいわれるのは,地球マントル内の深さ約100kmの所にあると考えられているものである。地殻内,中心核内のものをいうこともあるが一般的ではない。マントル内低速度層は,横波(S波)についてはほぼ汎世界的に存在すると考えられているが,縦波(P波)については異論がある。低速度層の深さや「低」の程度にはかなりの地域差がある。ふつうの大陸では深さ100~120kmくらいの厚さにわたって,S波の速さがその上下より約0.3km/sくらい遅い。海洋地域ではやや浅く70kmくらいの深さから始まり,速さは0.3km/sくらい遅い。一方シールド地域では,ふつうの大陸・海洋地域に比べて低速度層の存在は顕著でない。低速度層の原因には,温度・部分溶融・組成変化等が考えられるが現在定説はない。低速度層の存在は,地震実体波の振幅の減り方,深発地震の走時曲線の勾配,マントル表面波の分散特性等から確認されている。低速度層のある深さでは,地震波の減衰が大きく,地震エネルギーの放出が小さく,粘性率も小さいことが確かめられている。
執筆者:金森 博雄
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

