化学辞典 第2版 「基底関数」の解説
基底関数
キテイカンスウ
basis function
広い意味では,シュレーディンガーの波動方程式の解を求める場合,求めたい解をあらかじめ用意した何個かの関数群の線形結合で表すときに用いられる関数をいう.とくにab initio(アブイニシオ)分子軌道法で使われる場合は,分子軌道の線形結合で使われる原子軌道を表す関数のことをさす.基底関数として採用される関数は,原理的にはどのようなものでもよいが,分子軌道法では e-αr に比例する形のスレーター型関数(slater type function,STF)と,e-αr2 に比例する形のガウス型関数(gaussian type function,GTF)の2種類がもっともよく使われる.ab initio分子軌道法の汎用プログラムでは,数が小さな基底関数から大きな基底関数まで用意されており,大きな基底関数を使うほど,電子エネルギーや分子物性値について,より高い精度の結果が得られることが知られている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報