精選版 日本国語大辞典 「関数」の意味・読み・例文・類語
かん‐すう クヮン‥【関数・函カン数】
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昔は「函数」と書いた。二つの変数x、yがあって、xの値が決まれば、それに伴ってyの値がただ一つ決まるとき、yはxの関数であるという。
たとえば、1個a円のりんごx個の値段をy円とすれば、y=axであり、この式によってyはxの関数として定められる。また郵便料金の場合、xグラムの書状の料金をy円とすれば、yをxについての一つの式だけで表すことはできない。しかし各xに対してyの値はただ一つ決まるからyはxの関数である。この二つの例をみると、第一の例では、変数xは1個、2個、3個……というように整数値、つまり、ばらばらな値(離散的という)しかとらない。第二の例では、xの値は整数値とは限らない(つまり、連続的な値をとる)。また、どちらの例でもxの値についてはその大きさについて常識的な限度を設けて考えるのが普通である。このように、日常の事例に関連する数理としては、変数xのとりうる値の範囲については漠然とした約束があるが、それだけでは数学の対象とはなりえないので、変数xがとることのできる値の範囲を決める。これを関数の定義域といい、関数のとる値全体の集合を値域という。
関数の定義域としては、0≦x≦1であるような実数全体の集合、1≦x≦100であるような整数全体の集合などという与え方もあるが、関数が式で示されたとき、その関数がとりうる最大の範囲をその関数の定義域と考えることも多い。たとえば、
では、定義域はx≠1であるような実数全体、
では、定義域はx≦1であるような実数全体を考える。yがxの関数であることを一般的に表す方法として、y=f(x)あるいはg(x), F(x)などが用いられる。
[竹之内脩]
関数は単独でも用いられるが、いくつかの関数を組み合わせて考えることも多い。関数f(x), g(x)の和、差、積、商などを考えるだけでなく、二つの関数を合成するという操作もよく用いられる。すなわち、g(f(x))というものが定義できれば、これで新たな関数ができあがる。たとえば、
の合成関数として得られた関数である。また、yがxの関数であるとき、逆に、xをyの関数と考えることのできる例も多い。これが逆関数であり、この考察は実用上重要である。
[竹之内脩]
f(-x)=f(x)を満たす関数を偶関数、f(-x)=-f(x)を満たす関数を奇関数という。関数y=f(x)において、xの値が増加すれば対応するyの値も増加するとき増加関数、xの値が増加すればyの値が減少するとき減少関数という。関数は、その特徴を表すために、いろいろな名前をつけてよばれることが多い。xの多項式によって表される関数を有理整関数、xの分数式で表される関数を分数関数、あるいは有理関数といい、根号の加わった関数を無理関数という。なお、微分積分学で基本的であると考えられる関数を初等関数というが、これには、三角関数、指数関数、対数関数などがある。
いままでは1変数xの関数を考えてきたが、いくつかの変数(多変数)x1, x2,……, xnに対し、これらの値を決めれば、それに伴ってyの値がただ一つ定まるとき、yはx1, x2,……, xnの関数であるという。物理学で空間(三次元)の現象を問題にするときは、3変数x, y, zの関数が考察される。また経済学では、数多くの変数(需要量、供給量、生産量、雇用量、貯蓄性向、消費性向など)を考えることが多い。
[竹之内脩]
古くから考えられた関数は平方根で、4000年ぐらい昔にさかのぼることができよう。ついで三角関数が2000年ぐらい昔に考えられている。17世紀になってネーピアが対数を考えた。このようにみていくと、関数の概念は、ものの数量的把握の方法として、きわめて自然に発生し、形成されてきたといえよう。関数ということばをつくったのは17世紀末のライプニッツで、原語の意味は働き、機能ということである。xの値にyの値を一つずつ対応させる働きという認識だったのだろうが、まだ、そのように明確な形では表現されてはいない。オイラーなどは、関数すなわち式と考えて、関数を式の形で分類している。18世紀から19世紀にかけて関数概念がさらに明確化され、整理されていくなかで、この項の初めに述べたような形の定義が登場する。これはディリクレに負うものであって、1837年のことであった。今日ではさらに広く考えて、一つの集合から他の集合への写像のことも関数とよぶ風潮がある。しかし、関数本来の考え方からいえば、変数xの値が動いていく、それに伴ってyの値も動いていく、というところに関数概念の中心があるといえる。
[竹之内脩]
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(桂利行 東京大学大学院教授 / 2007年)
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…19世紀の終りごろまでは,関数はおもにその各点における値に着目して研究されてきたが,20世紀に入って集合論の発祥とともに,ある条件を満たす関数全体の集り(集合)を考え,個々の関数をその集合の要素として扱う考え方が行われるようになった。そうして,ふつうのユークリッド空間でベクトルの加法や定数倍の算法を考えたり,点列がある1点に近づくという〈収束〉の概念を用いたりするのと同様に,関数の集合の中でベクトルの算法や収束を考える。…
※「関数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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