墨流(読み)すみながし

精選版 日本国語大辞典 「墨流」の意味・読み・例文・類語

すみ‐ながし【墨流】

〘名〙
① 水の上に字や絵をかく方法の一つ。小豆粉・黄柏(おうはく)明礬(みょうばん)麻布に包み、水で湿して紙に浸し、それに墨文字や絵をかいて水に浮かべ、細い竹ぐしで紙を水底に突き落として墨だけを水面に浮かび残すこと。
※雑俳・あかゑぼし(1702)「浮て来た・波に題目墨ながし」
※浮世草子・男色大鑑(1687)四「近日越前へのたよりに、墨流し巾広の鳥子三十枚御申遣し頼入候」
③ (墨流蝶) タテハチョウ科のチョウ。はねの開張六五ミリメートルほど。はねは墨色で、白く細い小紋が散在する。林縁を敏速に飛翔し、水たまり、樹液、糞に集まる。本州、四国、九州以南、台湾、朝鮮などに広く分布する。
[補注]「古今‐物名」に「すみながし 春霞なかしかよひぢなかりせば秋くるかりはかへらざらまし〈在原滋春〉」とあるが、この「すみながし」が①②どちらの意かは判然としない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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