大直日神(読み)おおなおびのかみ

朝日日本歴史人物事典 「大直日神」の解説

大直日神

古事記』には大直毘神と記される。神直日神(カムナオビノカミ)とペアになり罪や穢れ,禍いなどを直す神。『古事記』『日本書紀』の禊神話にその名が記されている。『日本書紀』によれば,黄泉の国を脱出した伊奘諾尊が,身の穢れを清めるために日向の小戸の橘の檍原という海岸で禊をしたとき,初めに現れたのは八十枉津日神であった。この神のもたらす禍いを直すために現れたのがカムナオビ,オオナオビである。マガツヒとナオビは「曲」と「直」の関係にある。御門祭の祝詞では,御殿の門を護る神が,四方八方から侵入する「天のまがつひ」の悪事を「神直び,大直び」に直し改めるとされている。本居宣長はこの神の効力威力を深く信奉し,『古事記伝』(1798年完成)の序文として「直毘霊」を書いた。

(西條勉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大直日神」の解説

大直日神 おおなおひのかみ

記・紀にみえる神。
異常でけがれた状態をただしくなおす神。黄泉(よみの)国からもどった伊奘諾尊(いざなぎのみこと)が禊(みそぎ)をしたとき,八十枉津日(やそまがつひの)神の「枉」(不浄,不幸)をなおそうとして,神直日(かむなおひの)神の次に生まれた。「古事記」では大直毘神とかく。

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