天父受難説(読み)てんぷじゅなんせつ(その他表記)Patripassianism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天父受難説」の意味・わかりやすい解説

天父受難説
てんぷじゅなんせつ
Patripassianism

2~3世紀のキリスト教異端モナルキアニズムの一形態で,主唱者の一人サベリウスにちなんでサベリアニズムともいう (→サベリウス派 ) 。モナルキアニズムは神の唯一性を強調するあまり,神の子イエスの実体的独立性を希薄にしたが,父からの力を受けているかぎりにおいてイエスは神であると説くキリスト養子説的傾向のものと,父と子との相違は同一神の単なる様態ないし行為の違いによる現象形態の差にすぎないとするものがあり,後者がサベリアニズム (モダリズムともいう) で,この派はイエスの受難は父なる神が子において受難したと解したところから天父受難説とも呼ばれるにいたった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android