奄芸郡(読み)あんげぐん

日本歴史地名大系 「奄芸郡」の解説

奄芸郡
あんげぐん

河曲かわわ郡と鈴鹿郡の南、安濃あのう郡の北にあり、なかノ川流域と志登茂しとも川流域、およびその間に挟まれた丘陵地域とを郡域とする。「和名抄」高山寺本は「アムヘ」と訓を付し、東急本は「奄芸」と記し「阿武義」と読む。「延喜式」神名帳は「アムキ」「アキ」、同(民部省)は「アンキ」と傍訓を付す。

天平一九年(七四七)の大安寺伽藍縁起并流記資財帳(奈良市正暦寺蔵)に「奄芸郡城上原四十二町 開十五町 未開田代三十七町 四至東浜 南加和良社并百姓田 西同田 北浜道之限」、今請墾田に「奄芸郡長浜五十町 四至東海 南沼 西河道 北道之限」とある。ともに海岸辺にあり、城上原は現鈴鹿市稲生いのう塩屋しおや南部に比定する説が有力で、条里遺構も残存する。なお現安芸あげ河芸かわげ三行みゆきから現鈴鹿市徳居とくすい町にかけての丘陵地域には、須恵器の古窯跡が多く発見されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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