内科学 第10版 の解説
好中球アルカリホスファターゼ染色(特殊染色)
染色
NAPはGPIアンカー蛋白の1つで,成熟好中球に発現する.顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)の刺激によって活性が上昇する.標本染色後,好中球100個について陽性顆粒をもつ好中球の比率(NAP陽性率)を求めるか,または陽性顆粒の数・分布状況を0,I~Vの6段階に分類し,それぞれに0~5点を配点して集計した数値(NAPスコア,最高値500)が算出される.NAPスコアの基準値は施設間差があるが,おおむね170~300である.NAPスコアが異常値を呈する疾患・病態を表14-5-5に示す.慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)の慢性期は低値であるが,急性転化時にしばしば上昇する.発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)におけるNAP低値は,PIG-A遺伝子の後天的異常によるGPIアンカー蛋白欠損の結果である.[通山 薫]
■文献
日本検査血液学会編:スタンダード検査血液学,医歯薬出版,東京,2003.Swerdlow SH, Campo E, et al: WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, IARC Press, Lyon, 2008.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報