日本大百科全書(ニッポニカ) 「室泊」の意味・わかりやすい解説
室泊
むろのとまり
兵庫県たつの市御津町室津(みつちょうむろつ)にあった古代から中世に栄えた港。五泊(ごはく)の一つ。三善(みよし)清行(きよゆき、あるいは、きよつら)の『意見封事(いけんふうじ)十二箇条』には「檉生(むろふ)泊」とある。『万葉集』3164番に「室の浦」とあり、『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』揖保郡室原(むろふ)泊条に「室と号(なづ)くる所以(ゆえん)は、此(こ)の泊、風を防ぐこと、室の如(ごと)し。故(かれ)、因(よ)りて名と為(な)す」とあり、すでに奈良時代から良港として栄えていたことがわかる。鎌倉時代の公卿(くぎょう)源(土御門(つちみかど))通親(みちちか)の『高倉院厳嶋御幸記(いつくしまごこうき)』では、「たかさごのとまり」で一泊したあと「むろのとまり」に向かっている。
[栄原永遠男]