中部イタリア,アッシジの聖者フランシスコ (1182~1226) の行跡とその弟子たちの清廉な日常生活の記録。正確な原題は,"Fioretti del glovioso messere Santo Francesco e dé suoi frati"。 14世紀に最も普及し,今日も信者たちに読み継がれている。元来は,モンテジオルジオのウゴリニ・ボニスカンビがラテン語で書いた"Actus Beati Francisci et Sociorum eius" (『幸いなるフランシスコとその伴侶たちの行跡』) として世に出たが,現在流布されているイタリア語版は 14世紀後半に無名のトスカナ人によって訳出された。俗語表現による最も早い抒情詩でもあり,イタリア詩文学の源流となった。