日本大百科全書(ニッポニカ) 「尿タンパク」の意味・わかりやすい解説
尿タンパク
にょうたんぱく
urinary protein
proteinuria
尿中に排泄(はいせつ)された種々のタンパク質の総称。微量のタンパク質は健常人の尿中にも検出されるが、その生理的な範囲を超えて、1日当り150ミリグラム以上のタンパク質が持続的に尿中に確認される状態の尿を「タンパク尿」とよぶ。尿タンパクの検査は、腎(じん)疾患のスクリーニングや評価に用いられる。
尿中に排泄されるタンパク質は、通常は比較的分子量の小さいアルブミンやβ(ベータ)-グロブリンが主であるが、腎臓の糸球体基底膜が大きく破壊された場合(糸球体腎炎や糖尿病など)では、これらの排泄量が増加したり、より分子量の大きなタンパク質も排泄される。
尿中のアルブミンは通常は30mg/gCr未満で、これを超えて尿中にみられる状態をとくに「アルブミン尿」といい、30~299mg/gCrを微量アルブミン尿、300mg/gCr以上を顕性アルブミン尿とよぶ。タンパク尿やアルブミン尿は、ともに腎機能とは独立した心血管疾患等の危険因子であることが明らかにされている。
[編集部 2018年3月19日]