平か(読み)たいらか

精選版 日本国語大辞典 「平か」の意味・読み・例文・類語

たいら‐か たひら‥【平か】

〘形動〙 (「か」は接尾語)
起伏傾斜がなく、平坦なさま。たいら。また、数量や程度に、多少、高低などのないさま。
※大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)序「遂に憤を発し食を忘れて険を履むこと夷(タヒラカナル)若し
※千曲川のスケッチ(1912)〈島崎藤村〉一「畠の間の平かな道も好きだ」
② 国がよく治まって、やすらかなさま。波乱がなく静かなさま。
※宇津保(970‐999頃)春日詣「としごろよの中たいらかに、くに栄えてあり」
③ 心にとげとげしさがなく、おだやかなさま。心がまっすぐで正しいさま。
書紀(720)神代上(寛文版訓)「皆平(タイラカナル)(みこころ)を以て容(ゆる)したまふ」
④ 事故や支障がなく物事の行なわれるさま。つつがないさま。無事。
日本紀略‐延暦二二年(803)三月二九日「多比良可(タヒラカ)に 帰り来ませと」
落窪(10C後)二「いとたひらかに男子生み給へれば」
[語誌]→「たいら(平)」の語誌

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平か」の意味・わかりやすい解説

平か
ひらか

祭祀土器の一つ。平底で,もと口径と深さがほぼ同じであったらしい。のち,次第に浅くなり,俗に「盆瓦 (ぼんが) 」と呼ばれ,いまの木製盆に似た形になった。『日本書紀』には「平か」を「比邏介」と注し,『倭名類聚抄』には「盆」を「比良加」と呼んでいる。

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