いよ‐だ・つ【彌立】
〘自タ四〙 (「いよたつ」とも) 寒さ、または
恐怖などのために身の毛が立つ。よだつ。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)四「心驚き毛竪(イヨタツ)」
※
浄瑠璃・
嫗山姥(1712頃)四「誠の鬼の子是なんめり。知らず我羅刹国に来たるかと身の毛いよだつばかりなり」
[
語誌]平安末期から
語頭の「い」が脱落した「よだつ」に変わる
徴候を見せ始め、一四世紀前後には「よだつ」になったと推測される。
いや‐た・つ【彌立】
〘
連語〙 (「いや」は
副詞) いよいよ心をふるい立たせる。
※
万葉(8C後)一八・四〇九四「
大王(おほきみ)の みかどの守り 我
(われ)をおきて 人はあらじと 伊夜多氐
(イヤタテ) 思ひしまさる」
よ‐だ・つ【彌立】
〘自タ五(四)〙 (「いよだつ(彌立)」の変化した語。多く、上に「身の毛」を伴って用いる) 異常な
緊張感、寒さ、恐怖などのために、ぞっとして身の毛が立つ。
※康頼宝物集(1179頃)中「
乱声を奏て身の毛もよだつ程に覚ければ」
いや‐たち【彌立】
〘形動〙 (「いや」は副詞) いよいよ立つさま。
※
土左(935頃)承平五年二月五日「もはらかぜやまで、いや
ふきに、いやたちに、かぜなみのあやふければ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報