内科学 第10版 「心臓手術時の神経合併症」の解説
心臓手術時の神経合併症(心・肺疾患に伴う神経系障害)
手術方法,麻酔法,体外循環などの進歩にもかかわらず,心臓手術後に発生する神経障害は報告により差はあるが,およそ数%にみられる.意識回復遅延,痙攣,瞳孔異常などの神経障害がみられる.脳神経障害もみられ,特に虚血性視神経症の発症には注意が必要である.体外循環中の脳灌流圧低下,低酸素血症,体外循環回路中に発生した栓子による微小塞栓などに起因する.脳血管障害のリスクを有する場合には人工心肺の灌流圧を高めに設定したり,心拍動下での冠動脈バイパス術を施行するなどの対応が必要である.[高 昌星]
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