不随意かつ急激な筋肉の収縮をいう。筋肉の異常な収縮が長く続き筋肉がこわばった状態になるものを強直性tonic痙攣,筋肉の収縮と弛緩が交互に反復する状態を間代性clonic痙攣と呼ぶ。痙攣という名称は,非常に広い範囲の内容を意味しており,いくつかに分けられる。
(1)コンバルジョンconvulsion てんかんの大発作に代表される全身性の激しい痙攣をさす。(2)クランプcramp 有痛性の痙攣で,正常でも〈こむらがえり〉として経験される。書痙などの職業性痙攣,循環障害による間欠性跛行,代謝障害による筋肉自体の拘縮などもここに含められることが多い。(3)スパスムspasm 自分の意志で弛緩することのできない筋緊張の増加と筋短縮で,痙攣の術語としてはコンバルジョンなどよりもより一般的な術語である。破傷風,テタニー,狂犬病でみられるほか,顔面痙攣,眼瞼痙攣,痙性斜頸などとしても知られている。(4)ミオクローヌスmyoclonus 一つの筋肉あるいは筋群にみられる,持続時間の短い不随意に起こる不規則な電気ショック様の筋収縮である。正常でも入眠中にみられることがあるが,てんかん,感染症,変性性疾患,低酸素症など神経系を侵す種々の疾患で認められる。
このようにさまざまな形の痙攣が,大脳皮質から脊髄,末梢神経および筋肉に至る種々の病変によって生ずるため,詳細な問診と診察により臨床像を明らかにするとともに,脳波,筋電図を含む適切な検査によって診断することが必要である。治療は,原因疾患の明らかなものはその治療をすることであるが,危険防止と患者の苦痛をとるために痙攣を止めることも重要であり,真性てんかんや治療不能な変性疾患に伴う痙攣発作に対しては,それが治療のすべてである。なお抗痙攣剤は種々の副作用があり,注意深く投与しなければならない。
執筆者:水沢 英洋
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