成形ビームアンテナ(読み)せいけいびーむあんてな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「成形ビームアンテナ」の意味・わかりやすい解説

成形ビームアンテナ
せいけいびーむあんてな

アンテナから放射されるビームの断面形状が、通信や放送の対象地域の形状に一致するよう、ビーム形状を調整したアンテナ。たとえば衛星通信や衛星放送では、電波エネルギーを効率よく使用することや、周辺の国々に電波干渉を与えないなどの点から、静止軌道から日本の領土のみを照射することが望まれる。通常マイクロ波帯以上で使用されるパラボラ反射鏡では、ビームの断面形状が円形となる。反射鏡形状を放物面からわずかに変形させることにより、ビーム断面形状を変化させることができる。日本の最初の通信衛星であるCS‐2ではこの技術が使用された。パラボラ反射鏡の焦点近傍に複数個の1次放射器を配置し、これらに重み付けをして合成することによっても成形ビームを実現できる。この方法は日本の最初の放送衛星であるBS‐2をはじめ、国際通信衛星であるインテルサット系の衛星で採用されている。一方、航空機着陸管制レーダーでは、航空機とレーダー間の距離にかかわりなく受信レベルが一定になるように、垂直面内でアンテナビームが成形されている。これは反射鏡鏡面の断面形状の設計によって実現されている。

[鹿子嶋憲一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む