地球を周回する人工衛星の通り道の一つで、赤道上空の高度約3万6千キロに位置する円軌道。衛星が地球を1周する時間は地球の自転と同じ24時間で、地上から見上げると常に同じ位置で静止しているように見える。地上の同じ場所を観測する目的の気象衛星や放送衛星(BS)、通信衛星に利用される。高度が高いため、観測画像の解像度は粗く、通信の遅れも大きくなるが、カバーできる範囲が広いのが特徴。一方で地球観測衛星の多くは高度約400~千キロの地表に近い位置を飛ぶ。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
その上を飛行する人工衛星の周期が地球自転周期と一致し,地上からはつねに静止しているように見える軌道。静止軌道上の物体は地球の自転と同じ角速度で地球を回る。静止軌道は赤道上空高度約3万6000kmの軌道で,地球の重力場が完全な中心力場,かつ他の外乱が存在しなければ,軌道離心率は0度(完全な円),また軌道傾斜角も0°となり,静止軌道上の物体は地球に対して完全に静止する。このような人工衛星は静止衛星と呼ばれる。ただし実際には,地球重力場のひずみや,月・太陽の引力の影響を受け,完全に静止することはなく,一般に軌道は移動していく。例えば地球重力場のひずみによれば,赤道面内の東経72°(インド洋上)と西経108°(太平洋上)の2点のみが安定平衡点となり,これら2点のいずれかに徐々に移動していくことになる。したがって,ある点のまわりで許容範囲内に人工衛星をとどめておくためには,10日とか1ヵ月に1度くらいの割合で軌道修正を行わなければならない。近年,静止軌道は実用上の意味を増しており,通信・放送・気象衛星などの軌道として広く用いられてきている。ただし,隣の静止衛星との通信干渉などの問題があり,利用できる衛星数の制約,他国との静止軌道の利用権の交渉というような新たな問題も起こってきている。
→人工衛星
執筆者:松尾 弘毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 楕円軌道(円軌道を含む)の軌道周期Tは,で与えられ,第一宇宙速度に対応するこの周期は約84分である。とくに周期Tが1日の円軌道を地球同期軌道geosynchronous orbitといい,その中で,軌道傾斜角0度の軌道を通常,静止軌道と呼んでいる(図2)。 人工衛星の軌道はこのように,その形状から,円軌道,(長)楕円軌道,放物線軌道,双曲線軌道に分類されるほか,軌道の高度や周期により,低高度軌道,静止軌道などと呼ばれることもある。…
※「静止軌道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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