日本大百科全書(ニッポニカ) 「戯瓢踊」の意味・わかりやすい解説
戯瓢踊
けほんおどり
和歌山県御坊(ごぼう)市薗(その)に伝承する念仏踊系の風流(ふりゅう)踊。小竹八幡(しのはちまん)神社の秋祭の10月4日の宵宮と、5日の本祭(神幸祭)に踊られる。以前は御坊組氏子で50歳以上の男子に限られていたが、1955年(昭和30)ごろからはこの制約も廃されて広く市民の参加をみるようになり、10組もの踊り組ができた。大奇瓢(だいきひょう)(約1メートルの大瓢箪(おおびょうたん)を持つ者)1名、小瓢(しょうひょう)(渦巻状の小瓢箪を持つ者)十数名、太鼓、鼓、鉦(かね)の編成で、花笠(はながさ)をかぶり、絵模様のついた白帷子(しろかたびら)に黒絽(くろろ)の僧衣様の衣を着て、円陣または2列になって踊る。鉢叩(はちたた)き念仏に発すると思われるが不詳。江戸初期には存在し、9代紀伊藩主徳川治貞(はるさだ)から賜った四恩状を御書読人(ごしょとくにん)が読み上げてから始める。
[西角井正大]