打解(読み)うちとける

精選版 日本国語大辞典 「打解」の意味・読み・例文・類語

うち‐と・ける【打解】

〘自カ下一〙 うちと・く 〘自カ下二〙 (「うち」は接頭語)
① 氷などのように固まっていたものが溶ける。
※順集(983頃)「そこさむみむすびし氷うちとけていまやゆくらん春のたのみぞ」
周囲への心くばりをゆるめてくつろぐ。緊張がとけて心がゆったりとなる。心が落ち着く。
伊勢物語(10C前)二三「はじめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて」
増鏡(1368‐76頃)五「さぶらふ人々もうちとけにくく」
③ 人(主に異性)との交際で、心隔てがなくなる。気詰まりなくつき合う。なれ親しむ。
※桂宮甲本元輔集(990頃)「うちとけておもはぬなかはよとともに人めづつみに久しかりけれ」
※黴(1911)〈徳田秋声〉七六「二人を一層打釈けることの出来ないものにして了(しま)った」
④ 油断する。警戒心がなくなる。
※枕(10C終)三〇五「うちとくまじきもの えせもの」

うち‐と・く【打解】

[1] 〘自カ下二〙 ⇒うちとける(打解)
[2] 〘他カ四〙 (「うち」は接頭語) 紐の結び目のような固定された状態を解き放す。
※枕(10C終)一四六「紐うちとき、ないがしろなるけしきに拾ひ置くに」

うち‐とけ【打解】

〘名〙 心のへだてがなくなること。気を許すこと。
※浜松中納言(11C中)四「うちとけのあさましげなるありさまは、いかに見給ふらん」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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