掻垂(読み)かきたる

精選版 日本国語大辞典 「掻垂」の意味・読み・例文・類語

かき‐た・る【掻垂】

[1] 〘自ラ四〙 (「かき」は接頭語) たれる。下がる。
万葉(8C後)五・八〇四「くれなゐの 面(おもて)の上に 何処(いづく)ゆか(しわ)何伎多利(カキタリ)し」
[2] 〘自ラ下二〙 (「かき」は接頭語) 雨雲などが垂れ下がって暗くなる。また、雨や雪などが激しく降る。絶え間なく降る。
古今六帖(976‐987頃)一「かきたれてふる白雪の君ならばあなめづらしといはましものを」
※大鏡(12C前)五「五月しもつやみに、さみだれもすぎて、いとおどろおどろしくかきたれ雨のふる夜」
[3] 〘他ラ下二〙 くしけずって髪を垂らす。
※万葉(8C後)一六・三七九一「か黒し髪を ま櫛もち ここに蚊寸垂(かきたれ)
[補注](三)の万葉例は「かきたり」と読んで四段とする説もある。

かい‐だれ【掻垂】

〘名〙 (「かい」は「かき」の変化した語。けずる意) 祭事に用いる古風な幣(しで)一種。のちには、注連(しめ)や紙の御幣(ごへい)をもいう。削掛(けずりかけ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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