日本労働倶楽部(読み)にほんろうどうくらぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本労働倶楽部」の意味・わかりやすい解説

日本労働倶楽部
にほんろうどうくらぶ

1930年代初頭の右派・中間派労働組合の連絡組織。昭和恐慌下の資本攻勢のなかで労働戦線統一の機運が高まり、日本労働総同盟(総同盟)など右派六組合は、すでに成立していた労働立法促進委員会を大右翼連合へ発展させようとした。これに対抗し、31年(昭和6)2月全国労働組合同盟(全労)などは全国労働組合会議準備会を発足させ、中間派の組合を結集した。そのため日本海員組合はこの両者斡旋(あっせん)し、〔1〕反共労働組合主義、〔2〕国際労働機関そのものに反対しない、という2条件で妥協させ、6月25日、8団体22万5000人を擁して日本労働倶楽部(代表委員は浜田国太郎)を成立させた。これは懇談会形式の緩やかな連絡組織であったが、総同盟などが主導する右翼的労働戦線統一とみなされた。そのため、全国労働組合会議準備会に参加していた東京市従業員組合など五組合は倶楽部反対を声明し、全労も11月の第2回全国大会で分裂し、全国労働倶楽部排撃闘争同盟(排同)が結成された。満州事変後台頭した国家社会主義派への対抗と社会大衆党結成にみられる政治戦線統一の機運に乗じ、組織強化を図るため、日本労働組合会議準備会を経て、32年9月25日日本労働組合会議へ改組された。

[山田武生]

『渡部徹・飛鳥井雅道編『日本社会主義運動史論』(1973・三一書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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