…ウズラやヒバリのように親鳥が傷ついたまね(擬傷)をして,捕食者に自分を追わせひなのいる場所から遠ざける鳥もいる。孵化したひなが未成熟で羽毛も生えず,目もあいていないような場合(晩成性または留巣性),親鳥は長期間,餌を運んで育雛(いくすう)する。巣は一般に樹上,洞穴など安全な場所につくられる。…
…例えば同じ齧歯(げつし)類でも,ネズミの子は無毛で目を閉じたままで生まれるが,モルモットでは開眼で,毛が生えそろった状態で生まれてくる。子が生まれてからすぐに自活能力をもつものを早成性precocity,長く親の保護を必要とするものを晩成性altricityというが,一般に草食獣は早成性,肉食獣は晩成性の傾向がある。哺乳類では,子宮の壁を形成している平滑筋の収縮により,胎児を包んでいる胎膜が破れ,胎児が腟を通り腟口から体外に押し出されることが多い。…
…前者はニワトリやカモに見られるもので,その雛を早成性precocial,または離巣性nidifugousであるという。後者はスズメやツバメに見られるもので,その雛を晩成性altricial,または留巣性nidicolousであるという。極端な早成性の雛は孵化後すぐに自分で採餌できるが,極端な晩成性の雛は孵化したときにまったく羽毛が生えていなくて,眼も開いていないし,当然動くことはできない。…
…ただし最近では標識した長期にわたる観察結果から,小鳥類でも相手が生きているかぎりつがい関係が継続するものがいくつも知られるようになった。一夫一妻制はとくに,雛に与える食物が得にくい鳥とか,雛が一人前になるまでに時間のかかる晩成性の雛を育てる鳥でよく発達しているが,これは両親が協力して雛に餌を運ばないと雛がうまく育たないためと考えられている。 哺乳類では鳥類とは逆に一夫一妻制は少なく,全体の3%以下という。…
※「晩成性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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