李開先(読み)りかいせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「李開先」の意味・わかりやすい解説

李開先
りかいせん
(1501―1568)

中国、明(みん)代の詩文家、劇作家。章丘(山東省)の人。字(あざな)は伯華、号は中麓(ちゅうろく)。1529年(嘉靖8)の進士。戸部侍郎(こぶじろう)、太常寺少卿(たいじょうじしょうけい)になったが、40歳で官を退き、家に2、30人の俳優を置き芝居を楽しんでいた。万言の文章を書き、一韻で百首の詩をつくることができた。元曲を高く評価して『改定元賢伝奇』を編集したほか、『登壇記』『宝剣記』『断髪記』の三種の南曲(南方系の戯曲)を書いた。嘉靖(かせい)(1522~66)から万暦(1573~1619)へと上昇してゆく演劇界の先導的役割を果たした。

[岩城秀夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の李開先の言及

【戯文】より

…その後,俳優が天子や后妃に扮することを禁じられたり,官吏と歌妓との交遊が禁じられて,歌妓は女優を兼ねていたことから,演劇界はパトロンを失って一時衰退し,戯文の新作も世に出ない時期があったが,男優が女役を演ずることで新局面を開き,嘉靖年間(1522‐66)から次第に復興した。当時の傑出した劇作家に山東章邱(山東省章丘県)の李開先がある。李開先は大地主の家に生まれ,進士及第の後,官吏として北京に住んだこともあり,蔵書家としても知られていたが,40歳で郷里に帰り,家に俳優をおいて戯曲の制作を楽しんでいた。…

※「李開先」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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