日本歴史地名大系 「東野地誌」の解説
東野地誌
とうやちし
三冊
写本 喜連川町秋元武夫氏・東京大学史料編纂所
解説 正保国絵図作成の際に作成された郷帳の写と考えられる郷村高帳二冊(上・中巻)と、同じく道帳の写と考えられる簿冊一冊(下巻)からなる。両者を伊藤昌家(号董斎)が併せ写し、さらに文久三年に書写された。上・中巻は、郡ごとに一村ずつ村高を記し、続いて田高・畑高を記して領主名を付す。寺社朱印地も村高とは別に記す。郡ごとに村高・家数・田高・畑高、寺社領高、新田高・同田高・同畑高の総計を記している。上巻後半に相給村落の領主別の高分けを、最後に領主別の所領高の記載がある。慶安元年三月五日の奥書日付が記されており、これによって慶安郷帳と通称されている。下巻は道路・船路および城について記述。道路は大道・中道・細道に分けて記述され、距離のほか、上り・下りなど通行の難易も記している。慶安四年三月二九日の奥書日付がある。下巻は「下野一国」と同内容であるが、表現が微妙に異なり、書写の系譜が異なると思われる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報