書写(読み)ショシャ

デジタル大辞泉 「書写」の意味・読み・例文・類語

しょ‐しゃ【書写】

[名](スル)
書き写すこと。筆写。「経典書写する」
小・中学校国語科科目の一。文字を正確に書くことを目的とする。
[類語]写す筆写書き取る謄写透写転写拓本書き写す転記する手写する臨写するなぞるトレースする

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精選版 日本国語大辞典 「書写」の意味・読み・例文・類語

しょ‐しゃ【書写】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 古くは「しょじゃ」とも ) 書き写すこと。多く、文献を一字一字書き写して同じものを作ることをいう。
      1. [初出の実例]「凡僧尼有苦使者。修営功徳。〈謂。書写経典。荘厳仏象之類也〉」(出典令義解(833)僧尼)
      2. 「書写、黒の字を里山となせるにや」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)出羽三山)
      3. [その他の文献]〔後漢書‐樊宏伝〕
    2. 小学校・中学校の国語科の科目の一つ。字を正確に速く美しく書くことを学習する。従来の「書き方」「習字」にあたるもので、昭和三三年(一九五八)の学習指導要領で改訂。四つの言語活動のうち「書くこと」が作文と書写に分けられる。
  2. [ 2 ]しょしゃざん(書写山)」の略。
    1. [初出の実例]「鎮西、肥前の国の背振の山と云ふ所は、書写の性空聖人の行ひ給る所也」(出典:今昔物語集(1120頃か)一七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「書写」の意味・わかりやすい解説

書写
しょしゃ

本来は書き写すという意味の語であるが、学校教育においては一つの学習指導分野をさし、文部省(現文部科学省)は1958年(昭和33)改訂の小・中学校学習指導要領から、在来の「書き方」「習字」の呼称にかえて「書写」の語を用いることにした。国語のなか毛筆硬筆により「文字を正しく整えて書く」ことを目ざすという、国語における学習指導の主旨を鮮明にするためであった。伝統的な用語を避けて、あえてこれまでなじみの薄かった「書写」の語に切り替えたことの背景には、「習字」の語につきまとう精神主義や「毛筆による手習い一辺倒」の学習からの脱却を図り、「日常、硬筆によって文字を書くこと」に有効に機能する学習を目ざす意図があった。

 このとき以降、「書写」が正規の学校教育用語となったが、社会には十分になじまれない面があり、従前の「習字」の語が学校教育の場で誤用されることが多い。

[久米 公]

『阿保直彦ほか編、加藤達成監修『書写・書道教育史資料』全3巻(1984・東京法令出版)』『久米公著『書写書道教育要説』(1989・萱原書房)』『続木湖山編書『毛筆書写事典』新版(1991・教育出版)』『新書写教育研究会概要編集委員会編『書写教育概要』新訂2版(1993・ぎょうせい)』『上条信山著『新書写書教育事典――理論と実践』(1993・木耳社)』『全国大学書写書道教育学会編『新編書写指導』(2003・萱原書房)』

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普及版 字通 「書写」の読み・字形・画数・意味

【書写】しよしや

書き写す。〔顔氏家訓書証孔子、其の義を存して、其のを論ぜず。先儒を改めに從ふことを得。何ぞ況んや書寫傳するをや。

字通「書」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の書写の言及

【習字】より

…その後,習字教育復活の声が強くなり,51年の学習指導要領では,小学校四年生以上で,国語科の時間に毛筆習字を課することが可能になった。また68年以降は名称が〈書写〉に変わり,現在は小学校三年生から毛筆による書写が,硬筆による書写(一年生から)とともに課されるようになっている。高校では,音楽,美術などとならんで書道が芸術教科の一つとして選択課目となっている。…

※「書写」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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