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柔軟反応戦略 じゅうなんはんのうせんりゃくstrategy of flexible response

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

柔軟反応戦略
じゅうなんはんのうせんりゃく
strategy of flexible response

アメリカのケネディ=マクナマラ時代に採用された戦略。 M.テーラー大将がその著書"The Uncertain Trumpet" (1959) で提唱し,統合参謀本部議長として推進した核,非核を含む全般戦略構想。北大西洋条約機構 NATOは 1967年正式にこの戦略を採用した。その要旨は米ソの戦略核戦力が均衡してくると,その使用は共倒れを引起し,双方の本土が攻撃されないかぎり使用が抑止され大量報復は適用できなくなる。そこで相手の出方に対して弾力的に対応できるように,特殊 (ゲリラ) 戦から全面戦争にいたる各種戦力を準備し,戦争の各段階で阻止力をきかせると同時に,外交交渉の機会を利用し,かつアメリカの戦略核へのつながり,すなわち戦略核戦争へのエスカレーションの可能性によって戦争を抑止しようという戦略である。この戦略を有効にするためには,通常戦力および戦術核戦力を含む局地的核戦力がアメリカの戦略核との密接な関連のもとに必要とされる。

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世界大百科事典内の柔軟反応戦略の言及

【核戦略】より

…核兵器は破壊力が巨大で〈使えない兵器〉となっているので,局地戦争に対処するには在来の兵器で装備した通常兵力を重視すべきだという主張である。61年に登場したケネディ政権のマクナマラ国防長官は,全面核戦争から限定核戦争,通常兵力による局地戦争など,予想されるすべての戦争に対処することを考え,〈柔軟反応戦略flexible response strategy〉としてまとめあげた。この戦略は,脅威の性質に柔軟に対応する能力を持つことで,あらゆる種類の戦争を抑止することをねらっていたといえる。…

【核兵器】より

… この時期には多くの核戦略が提唱されている。アメリカのケネディ政権が提唱した〈柔軟反応戦略〉は,起こりうるあらゆる段階の戦争形態に即応可能な核戦力を保持することにより,対応上多様な選択肢を持ち,柔軟性を獲得して戦争を抑止しようという戦略であり,この基本思想はアメリカにおいて現在まで貫かれているといえる。そのほか62年から63年にマクナマラ国防長官が提唱した〈対都市戦略〉や〈対兵力戦略〉,64年から65年に提唱された〈被害局限戦略〉や〈確証破壊戦略〉がある。…

【NATO】より

…ワルシャワ条約機構軍とNATO軍の戦力を比較すると,84年時の総兵力で617万人対502万人,戦車で5万両対2万両,航空機で5800機対1万2000機,艦艇で1300隻対1300隻であった(《ミリタリー・バランス》による)。
[NATOの戦略]
 NATOの戦略は,かつて米核戦力に依存する大量報復戦略をとっていたが,1967年12月以来,柔軟反応戦略を採用してきた。この戦略は,通常戦争から限定的核戦争,全面的核戦争まであらゆる種類の戦争に有効に対処できる軍事力をもつことによって,侵略の抑止をはかろうとする戦略で,ソ連・東欧からの侵略に対しては国境地帯で防衛する前進防衛態勢をとった。…

※「柔軟反応戦略」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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