案分票(読み)あんぶんひょう

共同通信ニュース用語解説 「案分票」の解説

案分票

一つの選挙区に名前の一部が共通する候補者が複数いて、投票用紙にその一部しか書かれていない場合、関係候補者で票を分け合う。同姓や同名が典型例。案分対象以外の有効投票数を集計後、候補者の得票数に応じて振り分ける。比例代表は候補者が多い分、毎回多くの案分票が発生する。総務省は都道府県選挙管理委員会に対し、案分が発生しそうな候補者名と記載例を参考として伝えているが、票の取り扱いの判断各地開票管理者に委ねられている。

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知恵蔵 「案分票」の解説

案分票

案分とは、基準となる数量に比例して割り振ることをいう。同じ名字または同じ名前の者が立候補した選挙において、投票用紙に名字だけ、または名前だけが記入されている場合、有権者がどちらに投じた票なのか判断ができない(一般に疑問票と呼ばれる票の一つ)。こうした票について、公職選挙法は、該当する候補者の得票数に比例した割合の票数を算出し、その票数を割り振ると定めている。この票を案分票という。
例えば、同一選挙区に「山本太郎」と「山本次郎」が立候補し、「山本太郎」が5000票、「山本次郎」が2000票を獲得したが、「山本」だけを記載した票も100票あった場合、山本太郎には「5000×100/(5000+2000)=71.4285……票」が5000票に加えられる。同様の計算式で、山本次郎には、28.5714……票が2000票に加えられる。開票後、案分票の小数点以下の端数を発表するところもある。
この他、同じ漢字で読み方が異なる名字または名前の候補者が出馬した場合、候補者が本名でなく芸名で出馬した場合など、それぞれの扱いは各選挙区を管轄する選挙管理委員会に委ねられている。想定していなかった疑問票が出た場合、同委員会の開票責任者が判断を下すが、開票後にその有効・無効をめぐって裁判に発展するケースも少なくない。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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