森は生きている(読み)もりはいきている(その他表記)Двенадцать месяцев/Dvenadtsat' mesyatsev

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森は生きている」の意味・わかりやすい解説

森は生きている
もりはいきている
Двенадцать месяцев/Dvenadtsat' mesyatsev

ロシアの児童文学者マルシャークの児童劇。四幕八場。1943年刊。原題は「十二月(じゅうにつき)」の意。スロバキア民話『12の月の兄弟』に基づいて書かれた。継母と連れ子の娘にいじめられ、こき使われながらも、優しい美しい心を失わぬ娘が主人公。春に咲くマツユキソウを新年のお祝いにほしいといいだしたわがままな女王の気まぐれのおかげで、継母たちから真冬の森へ追い立てられた娘が、1月から12月までの月の精に助けられてマツユキソウを手に入れ幸福を得る。豊かな内容性と美しい台詞(せりふ)、幻想的な場面展開で第一級の作品となっている。46年スターリン賞受賞。54年俳優座により初演されて以来、日本でももっとも上演回数の多い戯曲の一つである。

[内田莉莎子]

『湯浅芳子訳『森は生きている』(岩波少年文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の森は生きているの言及

【児童劇】より

…〈童話劇〉が〈児童劇〉という言葉で呼ばれるようになり,専門家による職業劇団として,多くの劇団が自立したのは戦後のことである。また戦後は,新劇団も児童劇の分野に進出,〈俳優座〉は《森は生きている》(マルシャーク作。1954初演)の名作を生んだ。…

【俳優座】より

…戦後は千田是也の唱える〈演劇アカデミズム〉論を劇団の理論的支えとして,シェークスピア,モリエール,イプセン,チェーホフ,ブレヒトなどの翻訳劇や,真船豊,田中千禾夫(ちかお),安部公房などの創作劇を積極的に上演,昭和20年代,30年代を通じて,新劇界の中枢的劇団として多くの人々に親しまれた。〈こども劇場〉でのS.Ya.マルシャーク《森は生きている》などの上演も,演劇普及の実践的活動として評価することができる。また1949年に設立された演劇研究所付属俳優養成所からは,多くの新人俳優が輩出し,のち,1950年代半ばから70年代にかけての新しい演劇運動の有力な担い手となった。…

※「森は生きている」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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