日本大百科全書(ニッポニカ) 「森は生きている」の意味・わかりやすい解説
森は生きている
もりはいきている
Двенадцать месяцев/Dvenadtsat' mesyatsev
ロシアの児童文学者マルシャークの児童劇。四幕八場。1943年刊。原題は「十二月(じゅうにつき)」の意。スロバキアの民話『12の月の兄弟』に基づいて書かれた。継母と連れ子の娘にいじめられ、こき使われながらも、優しい美しい心を失わぬ娘が主人公。春に咲くマツユキソウを新年のお祝いにほしいといいだしたわがままな女王の気まぐれのおかげで、継母たちから真冬の森へ追い立てられた娘が、1月から12月までの月の精に助けられてマツユキソウを手に入れ幸福を得る。豊かな内容性と美しい台詞(せりふ)、幻想的な場面展開で第一級の作品となっている。46年スターリン賞受賞。54年俳優座により初演されて以来、日本でももっとも上演回数の多い戯曲の一つである。
[内田莉莎子]
『湯浅芳子訳『森は生きている』(岩波少年文庫)』