植物矮化剤(読み)しょくぶつわいかざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「植物矮化剤」の意味・わかりやすい解説

植物矮化剤
しょくぶつわいかざい

植物成長抑制物質ともいわれる合成物質で、植物に与えると、とくに節間(せっかん)(茎)の伸長を抑え、植物を矮性化する。4価のアンモニウム基をもつAMO1618やサイコセル(Cycocel)、4価のホスホニウム基をもつホスホンD(Phosphon D)、コハク酸のアミン誘導体であるビーナイン(B9)などが代表的な矮化剤である。これらの矮化剤は、植物ホルモンであるジベレリンの生合成阻害剤としての作用があり、とくに、ジベレリンの前駆物質であるent-カウレンがゲラニルゲラニルピロリン酸からつくられる反応を触媒するカウレン合成酵素の働きを抑える。植物に与えて矮性化がおこるのは、このように、植物の茎の成長に必要なジベレリンの合成が抑えられるためと考えられる。植物矮化剤は、人為的に矮性化した鉢植えの植物などの栽培に広く利用されている。

[勝見允行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例