気張(読み)きばる

精選版 日本国語大辞典 「気張」の意味・読み・例文・類語

き‐ば・る【気張】

〘自ラ五(四)〙
① 呼吸をとめて体に力を入れる。息をつめてりきむ。いきむ。
史記抄(1477)四「一方をば孟説があぐる、一方をば武王の挙るとて、きはりたほどに、臏を絶たぞ」
※当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉四「ウンと気張ってお雪を背負ひ」
気力を奮い起こす。元気を出す。奮発する。努力する。
※十問最秘抄(1383)「世上一同に帰せば、力なく其の方へ諸道の事はなるべき也。一人きばりて詮なし」
③ 着飾ったり恰好をつけたりしてみえを張る。体裁ぶる。
歌舞伎・幼稚子敵討(1753)四「銭が無か、気張(キバ)ってゐる古褞袍(わんぽう)も、其風呂敷包も、きりきりこっちへおこせ」
④ 気前よく金を出す。思いきって、金銭を多く出す。はずむ。おごる。奮発する。
※俳諧・望一千句(1649)六「大水もはや引口のふもと川 きばるがうへもきばる船ちん」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵投機炊婦(おさん)どんが一円の二円のと下駄を気張るさうだからネ」
⑤ 江戸時代、上方で、米商人や米相場師などが、商売をする。米の売買をしたり、相場を張ったりする。
※稲の穂(1842‐幕末頃)「売でも買でも、商内して居るを気張てゐると言」

き‐ばり【気張】

〘名〙 気張ること。元気を出すこと。奮発すること。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)初「彼奴等にしてはチト気張(キバリ)名古屋ぢゃア代(しろ)都合が出来たト見えるノ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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