六訂版 家庭医学大全科 「水疱性類天疱瘡」の解説
水疱性類天疱瘡
すいほうせいるいてんぽうそう
Bullous pemphigoid
(皮膚の病気)
どんな病気か
お年寄りに多くみられます。かゆみを伴った皮膚の赤み(
原因は何か
原因は、患者さんの血液のなかに含まれる免疫グロブリンという蛋白質の一部です。免疫グロブリンは、本来はウイルスやばい菌と闘うために私たちの体のなかにある蛋白質なのですが、その一部が自分の皮膚と闘いだすために、皮膚が傷んでしまいます。具体的には、ヘミデスモゾームという構造物のなかのBP180という蛋白を攻撃します。
症状の現れ方
気がついた時には体に水疱が現れていて、日に日に数が増えていきます。軽いものでは、皮膚の赤さが目立っていて、水疱が小さいものもあり、湿疹との区別に苦労することもあります。通常はかゆみがあります。
検査と診断
破れにくい大きな水疱が特徴です。診断は、症状だけではなく検査と組み合わせて総合的に行います。天疱瘡と同じように、皮膚を小さく切り取り(皮膚生検)、ひとつは組織検査を行い、水疱のできている場所が表皮の下であることを顕微鏡で観察します。
もうひとつ皮膚をとって、
血液の検査では、近ごろではELISAという免疫学的な検出方法が優れていますが、陽性率が少し低い、つまり本当は類天疱瘡の病気にかかっているが、検査ではマイナスに出てしまうことが3割程度あることが難点です。これらの検査結果と臨床症状と経過から総合的に判断します。
治療の方法
治療の基本は、
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医の診断が必要です。
田中 俊宏
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報