日本大百科全書(ニッポニカ) 「江湖派」の意味・わかりやすい解説
江湖派
こうこは
中国、宋(そう)代の詩派。江湖は官界に対する民間の意。書店の主人陳起(ちんき)がおもに民間詩人の作品を編集して『江湖小集』95巻、『江湖後集』24巻などを出版したことから、のちにこれらの詩集に収められた100余人を江湖派の名でよぶようになった。江湖派の代表詩人は、姜夔(きょうき)、戴復古(たいふくこ)、劉過(りゅうか)、高翥(こうしゃ)、劉克荘(りゅうこくそう)の5人とされるが、このなかでは劉克荘だけが高級官僚であって、他はおおむね仕官しなかった在野の人ばかりである。戴復古のような職業的文人の指導を受けて詩をつくっていた市民詩人の集合が江湖派であるといえよう。しだいに宋王朝が末期に近づくなかにあって、小詩人に似ず気骨のある作者が多いのがこの派の特徴である。
[横山伊勢雄]