流動点降下剤(読み)りゅうどうてんこうかざい(その他表記)pour point depressant

改訂新版 世界大百科事典 「流動点降下剤」の意味・わかりやすい解説

流動点降下剤 (りゅうどうてんこうかざい)
pour point depressant

溶液または液状やスラリー状の混合物が,温度低下などにより,その成分が析出,固化して,流動性を失う場合,流動輸送が阻害される。このような固体の析出,固化を防止するために添加される薬剤を流動点降下剤という。たとえば原油のパイプ輸送などで,パラフィン系成分の多い中国原油などは冬季,パラフィンの析出により流動性を失いやすい。このような場合,パラフィンの結晶化を防止し,または析出したパラフィンが相互に固化しないようにするもので,これら析出成分の結晶成長点に介在し,結晶性を低下させるようなものが使用されている。たとえば分枝構造の多いパラフィン系オリゴマー,アクリル酸エステルオリゴマー等である。流動点降下剤は,そのほか工業的に塗料などの保存安定化などにも利用されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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