原油(読み)ゲンユ

デジタル大辞泉 「原油」の意味・読み・例文・類語

げん‐ゆ【原油】

油井ゆせいから採掘されたままの精製していない石油通常黒色の悪臭ある液体
[類語]脂肪脂肪油油脂魚油香油オイル石油重油軽油灯油ガソリン揮発油精油グリース

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百科事典マイペディア 「原油」の意味・わかりやすい解説

原油【げんゆ】

地下から油井(ゆせい)により採取されたままの未加工の鉱油。赤褐〜黒色の水より軽い液体で,蛍光(けいこう)や臭気を伴う。各種の液状炭化水素を主成分とし,固形およびガス状の炭化水素を溶解微量硫黄酸素窒素などの各化合物や,採油の際混入する水,塩水,泥などの不純物を含有する。一般に含有する炭化水素の種類により,パラフィン基原油パラフィン系炭化水素を多量に含み,得られるガソリンのオクタン価は低いが,良質の潤滑油が得られる),ナフテン基原油ナフテンシクロパラフィン)系炭化水素を多量に含み,蒸留に際しアスファルトおよびピッチが残り,量は少ないがオクタン価の高い良質のガソリンが得られる),中間基および混合基原油(前2者の中間の性質を有する)に分類される。また比重により,軽質原油(比重0.830未満),中質原油(0.830〜0.904未満),重質原油(0.904〜0.966未満),特重質原油(0.966以上)に分類される。一般に常圧蒸留熱分解改質法脱硫などの精製工程を経て各種石油製品が生産される。→石油
→関連項目石油産業

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化学辞典 第2版 「原油」の解説

原油
ゲンユ
crude oil

地下から産出した状態の未精製の石油.赤褐色ないし黒褐色の粘ちゅうな液体である.比重0.8~1.0.主成分は各種炭化水素の複雑な混合物であるが,とくにパラフィン(アルカン)およびナフテン(シクロアルカン)炭化水素が多く,芳香族炭化水素は少ない.このほか,硫黄,窒素,酸素の各有機化合物を含み,これらの不純物は高沸点留分ほど含有量が多い.とくにパラフィン炭化水素を主成分とするものをパラフィン基原油とよび,比重は比較的小さく,ろう分を多く含む.また,ナフテン炭化水素を主成分とするものをナフテン基原油とよび,比重は比較的大きく,一般にアスファルト分を多く含み,とくにアスファルト分の多いものは,アスファルト基原油ともいわれる.実際には,これらの中間的な性質をもつ原油が多く,これらは中間基または混合基原油とよばれる.アメリカのペンシルベニア原油,および中東地方の各原油はパラフィン基,アメリカのガルフコースト原油,アゼルバイジャンのバクー原油はナフテン基,アメリカのミドコンチネント原油は中間基原油として代表的なものである.わが国では,新潟,秋田,山形県地方に原油を産出するが,その量は少なく,需要の99.7% 以上は輸入原油に依存している.とくにその大部分を占める中東原油には,硫黄分が多い(約1.5~3.5%).

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原油」の意味・わかりやすい解説

原油
げんゆ
crude oil

地下から汲上げられたままの未加工の石油。各種炭化水素を主体に硫黄,窒素,酸素の化合物などをそれぞれ少量含んだ粘着性のある黒褐色,赤褐色の液体で,地質時代に海底に堆積した有機物が変化したものといわれている。稼行するに足る原油を生産する地域を油田,原油を連続して貯留する地層を油層という。組成や性質はきわめて多種多様で,油田によって,あるいは同じ油田でも油層によって異なる。組成によって分類すると,パラフィン系炭化水素を多量に含むパラフィン基原油,ナフテン系炭化水素を多量に含むナフテン基原油 (アスファルト基原油) ,これらの中間的な性状の混合基原油,芳香系炭化水素を多量に含む特殊原油などがある。また比重による軽質原油 (比重 0.830未満) ,中質原油 (比重 0.830~0.904) ,重質原油 (比重 0.904~0.966) ,特重質原油 (比重 0.966以上) の分類方法や利用目的などを意識しながら関心成分が多く含まれているかどうかを区分して,たとえば低硫黄原油と高硫黄原油といった分け方をすることもある。発電用の原油生だき以外は,そのままでは利用できず,常圧蒸留,減圧蒸留,クラッキング,脱硫などさまざまな精製の工程を経て各種の石油製品に誘導する。

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世界大百科事典 第2版 「原油」の意味・わかりやすい解説

げんゆ【原油 crude oil】

油井から採取されたままの天然の石油をいう。原油は一般に黒褐色の粘い液体である。主成分は炭化水素であるが,そのほかに硫黄,窒素,酸素などの有機化合物や金属分,泥水分なども含む。原油を精製すれば,ガソリン,灯油,軽油,重油などの燃料油や,潤滑油,アスファルト,ワックス(パラフィン)などの石油製品を生産することができる。日本では秋田県,新潟県などで原油が産出されるが,その生産量は年間90万klにも満たず,ほとんどを中東諸国などの海外からの輸入に依存している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原油」の意味・わかりやすい解説

原油
げんゆ
crude oil

地下から産出した状態のままの未精製の石油。

[編集部]

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世界大百科事典内の原油の言及

【石油】より

…油井から生産されたままの,液状炭化水素を主成分とし,微量の硫黄,窒素,酸素,金属などを含む天然化合物を原油といい,炭化水素系天然ガスとともに石油と総称される。各種燃料油,潤滑油,アスファルトなどの石油製品も広義には石油のなかに含まれる。…

※「原油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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