内科学 第10版 「消化器疾患」の解説
消化器疾患(ほかの疾患に伴う肝障害)
a.炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)
炎症性腸疾患に合併する肝障害の多くは,低栄養や栄養療法による代謝性肝障害とステロイドをはじめとする治療薬に起因する.ほとんどが一過性であり,慢性化や重篤化することはきわめて少ない.わが国においては,潰瘍性大腸炎(UC)の4.6%,Crohn病(CD)の6.5%に何らかの肝胆膵疾患がみられる.炎症性腸疾患に合併する肝胆病変としては,脂肪肝,胆石,胆管周囲炎,原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)が代表的である.PSCはCrohn病よりも潰瘍性大腸炎において合併率が高く,欧米においては潰瘍性大腸炎の5~10%にPSCの合併がみられる.その他の肝胆道系病変としては,慢性活動性肝炎,肝硬変,アミロイドーシス,肝膿瘍,胆管癌,PBCなどの合併が報告されている.[西口修平]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報