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肝膿瘍 かんのうよう liver abscess

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肝膿瘍
かんのうよう
liver abscess

肝臓内に膿瘍が形成される疾患で,細菌性とアメーバ性に分けられる。細菌性のものは多発性で,起因菌は大腸菌が最も多く,その感染経路としては,消化管や骨盤腔内臓器の化膿性炎症が門脈を通じて波及するもの,種々の化膿性疾患病原菌が肝動脈を通じて肝臓内に入るもの,胆道の化膿性炎症が上行性に波及するものなどがある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

かん‐のうよう〔‐ノウヤウ〕【肝×膿瘍】

大腸菌ぶどう球菌赤痢アメーバの感染によって肝臓が化膿する病気。悪寒・発熱・疼痛(とうつう)などの症状がある。肝臓膿瘍

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家庭医学館の解説

かんのうよう【肝膿瘍 Liver Abscess】

[どんな病気か]
 肝臓(かんぞう)の局所に膿(うみ)が貯留(ちょりゅう)する病気で、膿が溜(た)まった膿瘍(のうよう)は1つだけ(単発性(たんぱつせい))のことも、多数できる(多発性(たはつせい))こともあります。原因としては、細菌の感染による化膿性肝膿瘍(かのうせいかんのうよう)と、赤痢(せきり)アメーバ原虫(げんちゅう)の感染による赤痢(せきり)アメーバ性肝膿瘍(せいかんのうよう)とがあります。
■化膿性肝膿瘍(かのうせいかんのうよう)
 発熱、右上腹部痛、肝腫大(かんしゅだい)(肝臓の腫(は)れ)が三大症状です。夜間の発汗(はっかん)、倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、体重減少、貧血(ひんけつ)がおこることもあります。
 横隔膜(おうかくまく)近くの肝膿瘍では、胸痛(きょうつう)や呼吸困難をおこすため、肺疾患とまちがいやすいものです。
●原因
 細菌感染が原因で、大腸菌(だいちょうきん)によるものがもっとも多くみられます。以前は虫垂炎(ちゅうすいえん)の原因菌が血流にのって肝臓に達し発生する肝膿瘍(血行性(けっこうせい))が多かったのですが、現在は減少して、胆道感染(たんどうかんせん)によるものが増えています。
 また、敗血症(はいけつしょう)に続発しておこるもの、感染経路が不明の特発性のものも多くみられます。
 なお、胆道感染では多発性の膿瘍が、血行性および特発性では肝臓の右葉(うよう)におこる単発性の膿瘍が多くみられます。
●検査・診断
 細菌感染にともなう白血球(はっけっきゅう)の増加、血沈(けっちん)の亢進(こうしん)、CRP陽性(C反応性たんぱく試験の結果が陽性)などの炎症所見、また、胆汁(たんじゅう)のうっ滞(たい)を示すアルカリホスファターゼ(ALP)、γ‐GTP(ガンマ‐グルタミルトランスペプチダーゼ)、LAP(ロイシン・アミノペプチダーゼ)などの血中濃度が上昇するなどの肝機能障害(かんきのうしょうがい)を示します。
 超音波検査は簡便なうえ、診断に非常に役立ちます。CT検査やMRI検査も行なわれます。
 原因菌の検索には膿瘍内の膿汁(のうじゅう)や血液の培養(ばいよう)が必要になります。
●治療
 抗生物質の使用と、超音波で腹部の画像を見ながら細い管を膿瘍部に挿入(そうにゅう)し、膿汁を体外へ排出する排膿法(はいのうほう)が行なわれます。これらで不十分な場合には手術が行なわれます。
■赤痢(せきり)アメーバ性肝膿瘍(せいかんのうよう)
 化膿性膿瘍と似ていますが、下痢(げり)や血便(けつべん)があったり、症状が軽い場合や、感染後数年以上たってから見つかることもあります。
●原因
 大腸内の赤痢(せきり)アメーバ原虫(げんちゅう)が血流にのって肝臓に運ばれることでおこり(血行性(けっこうせい))、おもに肝臓の右葉に単発性の膿瘍ができます。
 アメーバ赤痢は、以前は熱帯地方への旅行中に感染することが多かったのですが、現在は減少し、男性の同性愛者間の感染が増加しています。
●検査・診断
 血中の抗アメーバ抗体(こうたい)が陽性で、便・膿汁を顕微鏡で調べて原虫の存在が確認できれば診断がつきます。アメーバ性膿汁の特徴は、無臭で、赤褐色をしたアンチョビソース状のため、一見して診断がつきます。
●治療
 抗原虫薬(こうげんちゅうやく)を内服します。東南アジアなどの感染汚染地への旅行中や滞在中には、生水(なまみず)の摂取(せっしゅ)はもちろん、生水で洗った果物・野菜類の摂取も避けたほうがよいでしょう。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんのうよう【肝膿瘍 liver abscess】

肝臓内に細菌または赤痢アメーバが感染して囊状にふくらんだ病巣部に,膿汁がたまる状態である。細菌性のものでは,胆道感染が肝臓に波及して生じることが最も多いが,虫垂炎などによって細菌が門脈血中に入り,肝臓に病巣を作ることもある。原因菌としては,大腸菌が最も多い。39℃を超える高熱,悪寒・戦慄,持続性の上腹部痛が生じる。肝臓は著しくはれ,強い圧迫痛がみられる。血液中の白血球数も著しい増加を示す。放置すると敗血症を生じ,死亡することも多い。

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大辞林 第三版の解説

かんのうよう【肝膿瘍】

細菌・赤痢アメーバの感染などが原因で起こる肝臓の化膿性疾患。疼痛・高熱などの症状を呈する。肝臓膿瘍。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肝膿瘍
かんのうよう

肝臓内に化膿性炎症をおこし限局性に膿(うみ)がたまる疾患であり、病因によって細菌性肝膿瘍とアメーバ性肝膿瘍に分けられる。[菅原克彦]

細菌性肝膿瘍

胆管結石や胆道悪性腫瘍(しゅよう)による胆道閉塞(へいそく)が原因となる上行性感染、虫垂炎や憩室炎のような腹腔(ふくくう)内感染症による門脈性血行性感染、細菌性心内膜炎のような全身感染症時の肝動脈性血行性感染、まれには腹膜炎や胆嚢(たんのう)炎から炎症が直接波及したり、肝外傷が原因で発症することがある。膿瘍は単発することが多く、大きさは多様である。ときに肺と交通したり、横隔膜下に膿瘍をつくることがある。起炎菌でもっとも多いのは大腸菌、ついでブドウ球菌であるが、まれに嫌気性菌がみられることもある。
 症状は、悪寒を伴う発熱、右上腹部痛、食欲不振などで、肝腫大と圧痛がみられ、肺と肝臓の境界が上昇し、胸水貯留や黄疸(おうだん)などを伴うことがある。検査所見では白血球の増加、アルカリフォスファターゼ値の上昇などがみられ、単純X線像で横隔膜の偏側が挙上し、可動性を失っているのが特徴である。また超音波エコーグラムなどによる画像では、限局性疾患として認められる。治療は、強力な化学療法によるが、無効なときは切開して排膿する。[菅原克彦]

アメーバ性肝膿瘍

アメーバ赤痢の患者の大腸病巣から赤痢アメーバEntamoeba histolyticaが門脈を介して肝臓に至り、膿瘍を形成する。孤立性で肝臓の右葉に多く、内容はペースト様である。右季肋(きろく)部(みぞおち)痛、発熱のほか、肝腫大がみられる。糞便(ふんべん)からの赤痢アメーバの検出率は低いが、間接的な赤血球凝集試験などの血清学的検査は陽性である。治療には抗アメーバ剤が有効で、膿瘍が消失しないときは穿刺(せんし)吸引療法などが行われる。[菅原克彦]

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