化学辞典 第2版 「炭酸水酸化物塩」の解説
炭酸水酸化物塩
タンサンスイサンカブツエン
carbonate hydroxide
塩基性炭酸塩ともいう.炭酸塩と水酸化物を簡単な組成比で含む塩,または,その脱水物とみなされる塩.炭酸水酸化鉛(Ⅱ) 2PbCO3・Pb(OH)2,炭酸水酸化コバルト2CoCO3・3Co(OH)2・H2O,炭酸水酸化亜鉛2ZnCO3・3Zn(OH)2・H2O,炭酸水酸化銅(Ⅱ) CuCO3・Cu(OH)2,炭酸水酸化マグネシウム3MgCO3・Mg(OH)2・3H2Oなどが代表的なものである.これらの金属の可溶性塩の水溶液に炭酸ナトリウムを加えると得られる.炭酸水酸化鉛は顔料(鉛白)に,炭酸水酸化コバルトはコバルト顔料や他のコバルト塩の製造原料に用いられる.炭酸水酸化亜鉛は酸化亜鉛や亜鉛華などの顔料,医薬品,遮光剤の製造原料に用いられ,炭酸水酸化銅(Ⅱ)は緑青(ろくしょう)の主成分で顔料に用いられる.炭酸水酸化マグネシウムは単に炭酸マグネシウムとよばれているもので,医薬品(制酸剤),化粧品,歯磨き粉,耐火塗料,ガラス,人造石の製造原料などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報