翻訳|zinc oxide
酸素と亜鉛の化合物。工業薬品、医薬品、顔料などとしては亜鉛華、亜鉛白などということが多い。天然には紅亜鉛鉱として産する。
[中原勝儼]
シュウ酸亜鉛ZnC2O4を400℃で熱分解するか、塩基性炭酸亜鉛ZnCO3・3Zn(OH)2を熱分解させてつくる。工業的には金属亜鉛を燃焼させてつくる。
[中原勝儼]
純粋なものは常温で無色の結晶(紅亜鉛鉱は六方晶系)ないし粉末。250℃以上に加熱すると黄色になるが、冷えるともとに戻る。強熱すると1気圧では約1300℃で昇華が始まる。可視光はよく反射するが、紫外線はよく吸収する。太陽光でリン光を発するが、陰極線、陽極線などで緑色、紫色などの発光をし、加熱すると白色の熱発光をする。真性半導体である。少量の遷移金属をドープ(添加)するとリン光体となる。加熱しても分解しない。両性酸化物で、酸には溶けて亜鉛塩、水酸化アルカリ水溶液に溶けて亜鉛酸塩をつくる。またアンモニア水、炭酸アンモニウム水溶液にも錯塩をつくって溶ける。酸化コバルトCoOと灼熱(しゃくねつ)すると、コバルトグリーンとよばれる顔料が得られる。
[中原勝儼]
白色顔料としてペンキ、絵の具などとして用いられる。そのほかセメント、エナメル、乳濁ガラスなどとしての用途があり、ゴム充填(じゅうてん)剤などにも使われる。粒子の細かい上質のものは医薬品、化粧品、歯科充填剤として用いられており、メタノール(メチルアルコール)合成用触媒でもある。
[中原勝儼]
工業薬品,医薬品としては亜鉛華または亜鉛白とも呼ばれる。化学式ZnO。鉱物としては紅亜鉛鉱が存在するが,ほとんどアメリカのニュージャージー州のみに産する。工業的には,高温における亜鉛蒸気と空気との反応を利用して製造される。白色粉末。425℃に加熱すると黄色に変化するが,冷えると元の白色に可逆的に戻る。結晶は六方晶系のウルツ鉱型結晶構造(比重5.7)であるが,高圧(≅100kbar)では塩化ナトリウム型構造(比重6.9)になる。融点≅2000℃(加圧)。水に対する溶解度0.4mg/100g水。酸化亜鉛は半導体としての性質をもつが,亜鉛蒸気中で加熱すると,過剰の亜鉛が結晶格子中にとりこまれ,n型半導体となる。これは亜鉛の割合によって黄,緑,褐,赤などの色を呈する。少量の遷移金属を添加すると蛍光体となり,紫外線,X線照射により可視光線を放射する。酸およびアルカリに可溶で両性を示す。またアンモニア水にも溶ける。これはアンミン錯イオンを生成するためである。亜鉛華は,白色顔料,軟膏に古くから利用されているが,そのほか,ゴム添加剤,セラミックスのうわぐすり,エナメル,蛍光灯,難燃性繊維などに使われる。
→亜鉛華
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ZnO(81.38).亜鉛華または亜鉛白ともいう.天然には紅亜鉛鉱として産出する.亜鉛の水酸化物,炭酸塩,硝酸塩,シュウ酸塩を加熱すると白色の粉末として得られる.工業的には金属亜鉛の燃焼によってつくる.密度5.67 g cm-3.昇華点1725 ℃(1 atm).融点2000 ℃(52 atm).紫外線を吸収し,太陽光によりりん光を発する.両性酸化物で,酸,アルカリの溶液に溶ける.蛍光材料,電子写真感光材料,触媒,塗料,ほうろう,うわぐすり,防かび剤,食品添加物,半導体電子材料,白色顔料,医薬品,化粧品などに用いられる.[CAS 1314-13-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…眼科の点眼薬や耳鼻科でアフタなどの治療に使われる。酸化亜鉛は軟膏用に,硫酸鉛は農薬用殺菌剤として使われる。また固型セッケンに添加して殺菌効果をもたせるための薬剤として,ヘクサクロロフェン(G‐11)やテトラメチルチウラムジスルフィドあるいはビチオノールなどがある。…
※「酸化亜鉛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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