改訂新版 世界大百科事典 「痕跡元素」の意味・わかりやすい解説
痕跡元素 (こんせきげんそ)
trace's element
微量元素ともいい,生体にとって必須ではあるが,必要量のきわめて少量の元素をいう。ミネラルが食物中の量として1日100mg以上必要とされるのに対し,痕跡元素の必要量はそれ以下である。痕跡元素としては,クロムCr,コバルトCo,銅Cu,ヨードI,鉄Fe,マンガンMn,モリブデンMo,セレンSe,亜鉛Zn,フッ素Fなどがある(表)。このうちフッ素はネズミの成長に必須であるが,ヒトに必須であるということは証明されていない。しかしながら,フッ素は虫歯予防ならびに治療において,はっきりした役割を果たしているので,痕跡元素の一つと考えられている。
執筆者:堤 ちはる
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報