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元素 げんそ element

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知恵蔵2015の解説

元素

原子」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉の解説

げん‐そ【元素】

万物の根源をなす、それ以上分割できない要素。ギリシャ哲学の四元素(地・水・空気・火)、仏典の四大(地・水・火・風)など。
原子番号の等しい原子だけからなる物質。現在は水素をはじめ118種とされる。他分野で用いる元素と区別して、化学元素ともいう。
[補説]自然界に存在するのは原子番号92のウランまで。93番以上の元素は超ウラン元素、104番以上の元素は超アクチノイド元素と呼ばれ、加速器を使って人工的に合成される。113番元素は日本の理化学研究所が発見した。

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百科事典マイペディアの解説

元素【げんそ】

ある特定の原子番号をもつ原子によって代表される物質種。化学元素ということもある。単体の意味で用いることもあるが,厳密には区別される(たとえば酸素とオゾンとは,同じ元素に対応する2種類の単体である)。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんそ【元素 element】


【化学元素と単体】
 特定の原子番号(陽子数または核荷電数)によって規定される,物質構成の究極因子(原子種)を元素という。現在,原子番号から107に至る107種の元素が知られている(表1-I,II,III,IV,V)。別の意味で元素(原素と書くこともある)という語が用いられる場合との,用語としての混同を避ける意味で,とくに化学元素chemical elementと呼ぶこともある。実在する物質(分子種)のなかで,特定の元素が示す性質は,さまざまな形をとって多種多様に発現するが,それらの性質の根源は,すべて原子番号によって規定され,ある元素に固有の諸性質は,そのすべてが原子番号に帰着される。

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大辞林 第三版の解説

げんそ【元素】

〘哲〙 万物の根源となる恒常不変の構成要素。ギリシャ哲学における土・空気・火・水,仏教における四大・五大など。
ある特定の原子番号をもつ原子によって構成される物質種。しばしば単体の同義語として用いられるが,単体が実在の物質をさすのに対して,元素は原子の種類を表す概念。現在109種類の元素が確認されている。化学元素。
物を生み出すもとになるもの。もとになるもの。原素。 「封建の-は歳月を経るに従ひ愈々熟せしと雖も/日本開化小史 卯吉」 〔オランダ語 grondstof を grond (元または原)と stof (素)とに分け,漢字をあてた訳。「遠西医方名物考」(1822年)にある〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

元素
げんそ
element

化学元素ともいう。原子番号によって区別された1種類だけの原子よりつくられた物質種あるいはその単体の構成要素。自然に存在する元素は原子番号 43番のテクネチウムと 61番のプロメチウムを除き,1番の水素から 92番のウランまで 90種ある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

元素
げんそ
element

ある特定の原子番号をもつ原子によって代表される物質種をいう。その種類は、原子番号の存在可能な数値の数だけあり、現在までに地球上で114種の存在が確定されており、さらに新しい元素が合成されつつある。とくに化学元素とよんで、他の用語と区別することがあるが、普通は単に元素という。
 古くは、純粋な物質で、いかなる方法によっても2種以上の物質に分けることができず、またいかなる二つ以上の物質の化合によってもつくることができないとき、その純物質を構成している種を元素と定義していた。しかし、原子の人工変換に成功し、多くの同位体(アイソトープ)が発見されるに至って、それまでの定義では不明確となり、しかも物質を構成している最小単位の粒子としての原子を考えることにより、原子のもつ属性が注目され、元素の概念をはっきりさせることになった。すなわち、原子番号(原子核の電荷の数あるいは原子の核外電子の数)が、元素の性質を規定する基本的なものであることがわかってから、これを定義に用いることが考えられるようになった。
 なお、1種類の元素の原子からなる物質を単体といい、化合物と区別している。単体は技術的に分離できる実在の物質であるが、その成分である元素は、思考によって認識できるもので、実在の物質をさすことばではない。いいかえれば、単体は一つの成分だけからなるもので、その成分が元素である。[中原勝儼]

元素観の変遷――古代~中世


 元素の概念が取り上げられたのはきわめて古く、古代の中国、インド、エジプト、ギリシアなどにその記録がある。しかし、これらはすべて古代哲学者たちの単なる思考的所産によるもので、現在の科学者のもつ概念とある程度の共通点はあるものの、実験的な根拠はなく、現代の元素観とは本質的には異なっている。古代においては、元素は物質をつくる根本材料で、神の手を借りることなく、自ら動いて変化し、あらゆる姿となって現れるが、その本質は不生、不滅なものであると考えられた。[中原勝儼]
タレスの万物一元論
その根源的物質として、紀元前7世紀ころ初めて万物一元論が生まれた。ギリシアのタレスは「万物の根源は水である、すべてのものは水からでき、また水に戻る」といっている。すなわち、自然界に存在するすべてのものは、その形こそ千差万別であるが、ただ一つの根源物質からできており、この根源物質は不生、不滅で、それが形を変えて自然の事象として現れる。この根源物質こそ水である。水は氷や蒸気になり、雪や雲にもなり、また生物になくてはならぬものである。このことから、抽象的な意味での水(いわゆる普通の意味での水の性質を表すものといっているようである)を根源物質と考えた。その後、同じくギリシアのアナクシメネスは空気こそ根源物質であると考え、ヘラクレイトスは火であると主張し、ヘシオドスは土であると考えた。[中原勝儼]
エンペドクレスの四元論
このような考え方は、さらに多くの人の議論をよび、その後各種の二元論、四元論などが出現した。前5世紀の中ごろに、同じくギリシアのエンペドクレスは、前記4種の一元論を統一して、根源物質は土、水、空気、火の四つであり、これこそ万物の根本的四元素で、永久的、自然的で互いに転化することはできないとした。木を熱すると、火となって燃え、風(空気)を生じ、湿気(水)ができ、灰(土)を残すという事実は、木がその成分である火、空気、水、土の4成分に分かれたことを示しているというのである。また、土、水、空気、火は、それぞれ固体、液体、気体、エネルギーを代表しており、それぞれが重量、乾、湿、冷、熱などの性質をもっていて、これら四つの元素が愛によって互いに混合し、憎によって分離して世界の変化をもたらすと考えた。[中原勝儼]
インド・中国の元素観
これより以前の前7世紀ないし前6世紀にかけてインドのカピラを開祖とする哲学者たちが唱えた四大(しだい)の説や、同じくインドで前6世紀ないし前5世紀ごろカナーダをはじめとする哲学者たちの主張した四大説も、万物は地、水、火、風の四大種から生じるとした。さらに前6世紀の初めに釈迦(しゃか)がこの四大に空を加えて五大としているが、あるいはインドのこれら四大ないし五大の元素観がギリシアに影響しているのかもしれない。古代中国の五行(火、木、土、金、水)の考え方も同じであるとみてよい。[中原勝儼]
アリストテレスによる古代元素観の統一
これらの考え方は、ギリシアのアリストテレスによってまとめられ、中世に至るまで長い間信じられていた。アリストテレスは、四元にさらに第五元を加え、この第五元こそは世界をつくる唯一の根源材料たる第一物質quinta essentiaで、現実の姿をもたない可能的存在であり、これに乾、湿、冷、温の四つの性質が加わって火、水、空気、土の四元素ができ、これが混合しあって世界をつくるとした。この意味ではアリストテレスの考え方は、第一物質による一元論である。この考えは、釈迦の考えた地、水、火、風の四大に加えた空と対応しているともいえる。空をアリストテレスの第一物質と同じものとすると、これらの元素観には共通したものがある。ただこの時代には、すでに金、銀、銅、鉄、水銀などの金属や、炭素、硫黄(いおう)なども知られていたから、元素に対する認識が正当であるとするわけにはいかない。[中原勝儼]
錬金術師による物質変換の試み
このような第一物質ないしは空を通して四元素が互いに変換し、またすべての物質をつくるという考え方は長い間信奉されていたが、その考え方に従って物質変換を試みたのが中世の錬金術師たちである。しかし、錬金術師たちはアリストテレス時代の人々よりも実験事実を多く知っており、火、水、土、風の四元素よりも、現実的な物質を元素と考えていた。たとえば、アラビアのジャービル・ビン・ハイヤーン(8~9世紀の人とされている)は、水銀、硫黄、食塩を三元素として考えた(16世紀初めのパラケルススもこの考えで知られており、パラケルススの三元説ともいわれる)。このうち水銀、硫黄は現在でも元素であることは注目してよい。水銀が液体であるのに金属であり、硫黄が固体でも非金属であり、食塩が典型的な塩であることを考えると、これを三元とする考え方には近代的な認識方法に近いものがあるといえよう。もちろん、そのような認識がはっきりとしていたわけではなく、現在元素とされているリン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、亜鉛あるいは多くの金属が知られていたにもかかわらず、元素として認められなかった。[中原勝儼]

近代的元素観


 元素の概念に科学的な検討が加えられたのは17世紀になってからであり、現在に通じる近代的な元素観を確立したのはイギリスのボイルである。[中原勝儼]
ボイルの提唱
彼は、元素を決定するためには、単なる抽象的な推理によることなく、実験を基礎とすべきであることを初めて主張した。彼はその有名な著書『懐疑的な化学者』のなかで「すべて複合物mixed bodiesはこれを分解していくと、ついにはそれ以上分解することはできない原始的で単純な物に到達する。これが元素である」と述べている。彼は、実はこの著書の大部分を、そのころまで考えられていたアリストテレスの説、パラケルススの三元説に対する反論に割いている。ボイルはアリストテレスやパラケルススの考え方を批判して、熱したときの生成物が、四元説や三元説のような形で元の物質中に存在していたと断定できないことを詳細に説明し、すべての物質を構成するものとして粒子説を持ち出している。古代の哲学者や中世の錬金術師が、単なる抽象的推理によって元素を考え、その元素であるゆえんを明らかにしなかったのと比べれば、この考えはまさに画期的なもので、近代的元素観の基礎であるといってよいであろう。ただし、この定義では元素を単体とまったく同じ意味で用いている点に問題が残っていた。[中原勝儼]
フロギストン説
ボイルの痛烈な批判にもかかわらず、その後も四元説や三元説は、形を変えて広く信じられていた。それは、単体の認識に対する要望が強かったためでもあろう。ボイルと同時代のフランスのレムリNicolas Lemery(1645―1715)は、硫黄(いおう)、水銀、食塩の三元素に、さらに水と土を加えた五元説を主張し、ボイルの死後10年ほどしてドイツのシュタールは、三元説の硫黄の変形物ともいうべきフロギストン(燃素)の仮説を主張した。可燃性の物質にはフロギストンが含まれており、燃焼するとフロギストンが失われるのであるというのがフロギストン説である。シュタールの提唱したフロギストン説はきわめて広く受け入れられた。しかしフロギストン説は現代化学と反対の理解をしていたのである。
 その後イギリスのプリーストリーは、フロギストン説を固く信じながらも、1771年初めて酸素を分離し(彼は酸素とは考えていない)、これを1775年脱フロギストン空気として発表している。鉛やスズなどの金属を空気中で熱すると金属灰になる現象は、灰化calcinationとよばれ、その際重量が増加することもそのころわかっていた。それより前、ボイルは密閉ガラス容器中で金属を燃焼させる実験を行い、その重量増加は、きわめて微細な火の粒子がガラス器壁を通り抜けて結合するためにおこるとして、彼の粒子説により説明し、彼に続く人々もフロギストンについて同じように説明していた。[中原勝儼]
ラボアジエのフロギストン説批判
これに対し、フランスのラボアジエは、1771年から1774年にかけて燃焼の現象を研究し、さらにプリーストリーの脱フロギストン空気に啓発され、ついに1777年、空気が2種類の気体からなり、燃焼を支えるのはその一方だけで、燃焼と灰化とはフロギストンの分離ではなく、酸素との結合であることを明らかにして酸素の本性をとらえるに至った。ここで初めてフロギストンは空想上の元素であることが指摘され、空気はもはや元素ではなくなり、新しい元素仮説が提唱された。さらにラボアジエは1781年、すべての酸は非金属性物質と空気中の燃焼を支持する気体との結合物であると考え、この気体に酸をつくる元素oxygneという名前をつけた(ギリシア語でoxusが酸、gennaoが生ぜしめるという意味であることによる)。この酸素oxygneという名称が登場したのはきわめて大きな意味をもつといえる。
 一方、それより以前1769年、ラボアジエは有名なペリカンの実験によって、水が四元素の一つであるという主張を否定している。ペリカンは、錬金術華やかなりしころ使われた実験器具で、ガラス製の蒸留器の一種である。そのころまで、ガラス製の蒸留器で水を蒸留するとき、蒸留器の底に残る土状物質は水から転化したものと考えられていた。ラボアジエは密閉したペリカン中で蒸留水を101日間熱し続ける実験を行い、その前後の重量を正確に測定して不変であること、さらに蒸発乾固したときの土状物質の重量とペリカンの減量とが等しいということから、その土状物質はガラスが水に溶けたためにできたものであることを示した。[中原勝儼]
近代への脱皮、新元素の発見
このようにしてそれまでの元素説は否定され、新しい元素として酸素が登場し、相次いで水素や窒素のような気体の元素が発見されたが、これは化学の近代への脱皮ともいうべき大きな転機となった。このころには、水素と酸素とから水ができることも、水を分解すると水素と酸素とに分けられることもわかってきており、元素を、分析によって到達した究極点、すなわちどんな手段を用いてもそれ以上分解することができない物質と定義するようになっていた(したがって、その時代に元素であっても、将来元素でなくなる可能性があることになる)。そのころ元素という語は、単体という語と同じ意味のことばとして混用されていた。たとえば1789年にラボアジエの書いた『化学教科書』のなかの単体表には、のように4種に分類された単体がみられる。
 ただし、このうち第四の分類に属するものは、将来かならず分解されるであろうと予言されており(それから十数年後実際に分離されて、予言が正しいことが証明されている)、またそれより数年前に発表された著書では、このあとに第五の分類としてカ性アルカリがあったが、それはかならず分離されるものとして、すでに除かれていた。
 このころの元素観は、原子説と結び付き、実験技術の進歩と相まって、さらに洗練されてきた。また元素も新しく発見されて、19世紀の終わりころまでに、現在知られている元素の大部分がみいだされた。すなわち、それまで化学的手段では手の届かなかった元素に対しても、重要な武器となりうる電気分解が19世紀前半、ついで分光分析が19世紀後半、さらに20世紀に入るとX線による確認が行われるようになり、発見された元素も約80種を数える。[中原勝儼]
周期表による新元素の予言
この間、元素について特異な見方をしていたのは、イギリスのプラウトで、彼は1815年、当時の原子量が整数であることに着目し、すべての元素の原子は水素原子からなるという仮説をたて、元素を「原始水素の原子の異なった集合体である」と定義している。この考えは、元素の相互転換が可能であることを暗示しているもので、きわめて重要な概念であった。しかし、当時これを支持する実験事実はいっさい知られていなかったので、いつしか忘れられ、元素は変化しないもの、すなわち独立して永存するものであるという考えは、19世紀を通じて支配的であった。また、このころ、元素の性質を分類整理することから、周期律が考えられ始め、1869年にはロシアのメンデレーエフによって周期表が確立されたが、彼の周期表中の空欄には入るべき元素があるはずであるという予言から、新元素が発見され、さらには希ガス元素の発見と相まって、近世化学上の元素観が確立された。有名な化学の教科書を書いたオランダのホレマンArnold Frederik Holleman(1858―1953)は「いかなる方法をもってしても、等しくない成分に分解することのできない物質を化学元素という」(1900)としたし、同じくアメリカのジョーンズHarry Clary Jones(1865―1916)は「より簡単な何物にも分解できない物質を元素という」としている。[中原勝儼]
近代的元素観の成立
しかし1896年フランスのベックレルの放射能の発見、1898年キュリー夫妻のラジウムの発見によって元素の崩壊が実証されると、前記のような定義が怪しくなり始めた。そしてイギリスのE・ラザフォード、ソディらによる放射能研究から原子内部の構造の知識が増し、のちになって元素の相互転換が可能であることがわかり、しかも同位体の存在が発見されると、元素の定義はきわめて困難なものになった。すなわち、いかなる方法をもってしても成分に分解することができない、という定義は当てはまらなくなり、同じ原子という表現も正しくなくなるからである。その後も多くの人によって元素の独立永存性を基にした定義が試みられ、混乱を招くことになった。
 このなかでは、ロシアのクルバトフV. Y. Kurvatovが1910年に提唱した「化学元素とは、周期表の一定位置を占めている複合体で、互いに転換しうるものである」という定義が、プラウトの考えを復活したものであり、しかも周期表を使って定義したことは、本質をついたものといえる。また、ラボアジエの定義をいくぶん改めた「通常の化学的方法では分解不能の物質を単体といい、その単体を形成する物質種を元素という」という表現もよく用いられた。しかし、これもやはり古典的な表現で、元素の本質は原子番号にあり、現在では「ある特定の原子番号をもつ原子によって代表される物質種をいう」という定義が用いられている。[中原勝儼]

元素の地球化学的分類

ドイツのゴルトシュミットやノダックは地球に地殻やマントルや核といういくつかの層状構造ができることを溶鉱炉における金属鉄、硫化物層、ケイ酸塩層の成層構造と対比し、これらの中における微量元素の存在量を検討した。とくにゴルトシュミットは、地球化学的元素の分類方法を提案し、金属層に濃縮される元素を親鉄元素、硫化物層に濃縮される元素を親銅元素、ケイ酸塩層に濃縮される元素を親石元素とした。さらに気相に入る元素を親気元素、生物体に入る元素を生物元素と名づけた。これら分配の要因の一つは各元素の酸素に対する親和力の差によるものと考えられる。ただし、この分類は硫化物の存在しうるような還元的環境での分配である。[岩本振武]
『A・アイド著、鎌谷親善・藤井清久他訳『現代化学史』全3巻(1972~1977・みすず書房) ▽斎藤一夫著『化学の話シリーズ1 元素の話』(1982・培風館) ▽ディヴィッド・L・ハイゼルマン著、山崎昶訳『元素の世界のツアリングガイド』(1993・マグロウヒル出版) ▽吉村勝夫著『元素を知る』(1994・丸善) ▽今井弘著『生体関連元素の化学』(1997・培風館) ▽ジョン・エムズリー著、山崎昶訳『元素の百科事典』(2003・丸善) ▽ペル・エングハグ著、渡辺正監訳、西村寛他訳『元素大百科事典』(2007・朝倉書店) ▽サイモン・クェレン・フィールド著、セオドア・グレイ、ニック・マン写真、若林文高監修、武井摩利訳『世界で一番美しい元素図鑑 デラックス版』(2013・創元社) ▽井口洋夫・井口眞著『新・元素と周期律』(2013・裳華房)』

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世界大百科事典内の元素の言及

【化学】より

…古代ギリシア人たちである。イオニアの植民市ミレトスのタレスは,宇宙に広がる万物は〈水〉というただ一つの基本的材料,すなわち元素からできていると主張した。同じミレトスのアナクシメネスは,宇宙の元素は〈空気〉であるという結論に達した。…

【四大】より

…また密教では認識作用の〈識大(しきだい)〉を加えて〈六大〉とし,一切万有・全宇宙の構成要素とする。【井ノ口 泰淳】
[西洋]
 西洋では四大とは,〈四大元素four elements〉すなわち土,水,火,空気を指す。アリストテレスの哲学では,四大は乾,湿,熱,冷という四つの基本性質と配合され,土は乾と冷,水は湿と冷,火は乾と熱,空気は湿の熱の組合せに対応する。…

【地球】より

…地球物質のなかで化学分析値が得られているのは地殻のごく表層の物質に限られており,残りの大部分の化学組成は妥当な仮定にもとづく推定によらざるをえないからである。 地球の材料物質の化学組成,いいかえれば地球が生まれるもととなった原始太陽星雲の化学組成は,〈元素の宇宙存在度〉として求められている。この宇宙存在度は,現在入手できる太陽系内物質で最も始源的な,つまり原始太陽星雲の組成を保存している,と考えられているある種の炭素質コンドライト隕石の化学分析値と,太陽大気の分光学的に測定された化学組成などをもとに求められた。…

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