…ただし,単独の支配人による独走を防ぐために,複数の支配人が共同して代理権を行使すべきものとする共同支配の形態をとることもできる(39条)。包括的な代理権を有する支配人は営業主の営業において有力な地位を占めるので,商法は,支配人がその職務に専念し,また,競業により営業主の利益を害さないようにするため,支配人が営業主の許諾なしにみずから営業をすることや,競業(自己もしくは第三者のために営業主の営業の部類に属する取引をなし,または,会社の無限責任社員,取締役もしくは他の商人の使用人となること)を行うことを禁じている(競業避止義務,41条1項)。支配人がこの義務に違反して自己のために取引をなした場合には,営業主は介入権を行使できる(41条2項)。…
…取締役と会社との間の取引(自己取引。265条)とか,会社の取引先を奪いかねない取引(競業行為。264条)については,取締役会の承認を得ることが要求され,また,取締役の報酬額は定款または株主総会決議で定めることとして(269条),お手盛りを防いでいる。…
※「競業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」