聞入(読み)ききいれる

精選版 日本国語大辞典 「聞入」の意味・読み・例文・類語

きき‐い・れる【聞入】

〘他ラ下一〙 ききい・る 〘他ラ下二〙
① 心にとめて聞く。相手の言葉などに耳を傾けて聞く。耳にしようとする。耳を貸す。聞き流しにしない。
※竹取(9C末‐10C初)「耳にも聞いれざりければ、言ひかかづらひて帰りぬ」
徒然草(1331頃)六〇「いかなる大事あれども、人の言ふ事ききいれず」
② 相手の願い、要求教訓などを、聞いて承認し、そのとおりにする。聞き届ける。願いをかなえる。承諾する。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「世間の人むこに取らんとあらそひきこゆれど、ききいれず」
狂言記・手負山賊(1730)「若き時分より、親の異見も聞入ず」
③ 聞いて、それとわかる。聞いたことを理解する。
源氏(1001‐14頃)総角「かかる筋には、いま少し心も得ず、おほどかにて、なにともききいれ給はねば」

きき‐い・る【聞入】

[1] 〘自ラ五(四)〙 しみじみと耳を傾ける。心を澄まして聞く。じっと聞きほれる。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「若君の、このことどもをつくづくときき入て」
故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉三「相手の話に絶えず小首を振って、いかにも熱心に聴き入ってゐるやうに装ひはじめたのは」
[2] 〘他ラ下二〙 ⇒ききいれる(聞入)

きき‐いれ【聞入】

〘名〙 聞き入れること。承知。承諾。
浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)上「去(さり)とはつれないお師匠じゃと、こゑをあげてぞ泣ゐたる。将監なをも聞入(ききいれ)なく」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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