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胃ろう いろう Percutaneous Endoscopic Gastrostomy

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知恵蔵2015の解説

胃ろう

栄養を投与するために胃に設けた穴、あるいは胃に穴を設ける手術のことを言う。病気やけがなどで口から飲んだり食べたりできない人や、口に食べ物が入ると誤嚥(ごえん)を起こし生命に危険が及ぶ人などに適用される。胃がすでに切除されているなどで利用できない場合、腸に穴を設けることもあり、この場合は「腸ろう」と言う。いずれも表皮まで貫通する直径数mmの穴にチューブ(カテーテル)を通して留置し、ここから栄養剤を注入する。
胃ろうの造設は、局所麻酔のもとで30分以内に済む。栄養投与ルート長期間にわたって確保でき、消化器官の機能を維持できること、生命維持に重要な役割を果たす腸管免疫が保たれることなど、患者にとってのメリットは大きく、介護者にとっても処置が簡便で在宅でも管理できるなどのメリットがある。経口摂取が可能になり胃ろうが不要になれば、いつでもカテーテルを抜去することができる。
口以外からの栄養投与には他に、腕などの末梢(まっしょう)静脈にカテーテルを留置する末梢静脈栄養法や、鎖骨下、頸部(けいぶ)、鼠径部(そけいぶ)のより太い静脈を利用する中心静脈栄養法、鼻から直接消化器官へカテーテルを通じて投与する経鼻栄養法がある。しかし、末梢静脈栄養法は濃度の高い輸液によって血管が炎症を起こすため、適用は2週間以内とされている。中心静脈栄養法はカテーテルの留置部位から感染を起こすリスクが高く、数カ月を目安に胃ろう・腸ろうや経口摂取への離脱が試みられる。経鼻栄養法は、不快感が強く、認知機能に障害を来した患者の場合、カテーテルを自分で抜いてしまうリスクが高い。
以上のような各栄養法の特徴を踏まえ、日本では最近10年ほどの間に、高齢者を中心に急激に導入率が上がっており、一説には利用者数40万人とも言われている。また利用者数の増加に伴い、例えば認知症によって嚥下(えんげ)障害が起き、本人の意思が確認できないまま胃ろうが適用されるといったケースなどへの批判の声が高まりつつある。胃ろうへの批判的な意見はおおむね、胃ろう造設は本当に患者が望む医療なのかという疑問と、医療や介護のコストを圧迫するという危惧(きぐ)に裏打ちされている。比較的簡便な栄養法とはいえ、実施にあたっては日常的な感染予防策や、留置したカテーテルの定期的な交換が必要であり、利用者とその家族にとっては経口摂取より経済的コストがかかるのは事実である。

(石川れい子  ライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

胃ろう

おなかに穴を開けて胃へ管を入れ、水分や栄養をとる方烹推定40万人が使い、その多くは高齢者。日本老年医学会は1月、高齢者の終末期医療とケアに関し、胃ろうなどの人工栄養人工呼吸器の装着についての「立場」を改定。初めから胃ろうなどをしないことも選択肢として考えると表明した。「立場」は、高齢者医療に携わる医師が治療を考えるうえでの基本原則となる。

(2012-04-18 朝日新聞 朝刊 オピニオン1)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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