内科学 第10版 「腹膜漿液性乳頭状腺癌」の解説
腹膜漿液性乳頭状腺癌(腹膜腫瘍)
概念
卵巣に原発巣が見当たらないのに腹膜に播種性病変を呈し,卵巣の漿液性乳頭状腺癌に類似した組織像を示す比較的まれな疾患.組織学的由来は腹膜のMüller管上皮化生を背景とするなどの説があるが未確定である.
臨床症状
腹水,大網腫瘤など,癌性腹膜炎様の症状を呈する.
診断
エコー,CTなどの画像診断,血中CA125値,腹水細胞診,場合により腹膜生検などで診断される.
治療
おもに化学療法が行われるが,手術での腫瘍切除も予後改善を目指して行われることがある.
予後
進行した卵巣漿液性腺癌と同程度とされ,予後不良(平均2年弱程度)とされる.[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報