芸術写真(読み)げいじゅつしゃしん

精選版 日本国語大辞典 「芸術写真」の意味・読み・例文・類語

げいじゅつ‐しゃしん【芸術写真】

〘名〙 被写体を芸術的な視点からとらえ、鑑賞する者に美的感動を起こさせることを目的として制作された写真。〔大増補改訂や、此は便利だ(1936)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の芸術写真の言及

【写真】より

…写真を参考として利用した画家としては,クールベ,セザンヌ,アンリ・ルソー,ピカソなどがいるが,とくに積極的に公然と写真にもとづいて描いた画家としては,E.ドガやT.ロートレックがよく知られている。
[芸術写真の系譜]
 上述のように当初の写真においては絵画の主題を手本とするのが当然のように考えられていた。O.G.レイランダーの〈人生の二つの道〉(1857)のような寓意的,教訓的な主題による合成写真や,ロビンソンHenry Robinson(1830‐1901)の感傷的な場面の演出写真などが,そうした意味あいから〈芸術写真〉として一般に迎えられ高く評価されていた。…

【スナップ写真】より

…だが現代写真においては,写真自体の質の問題としてではなく,写真家(撮影者)の現実へのアプローチのしかたとしてのスナップショットというものが重要な意味をもつ。 19世紀末から20世紀初頭にかけての絵画的な芸術写真(ピクトリアリズム)全盛の時代において,〈芸術的な主題〉を明確に表明することのないスナップショットによる写真は,当時の〈芸術的表現〉を目ざす写真家にはほとんどかえりみられることがなかった。それを意識的,積極的にみずからの写真表現の方法として用いたのはアメリカ近代写真の父といわれるA.スティーグリッツが最初である。…

【風景写真】より

…アマチュアの写真愛好者にあっては,今日でもそれは一つの顕著な傾向であるといってよいかもしれない。一方,異境の風土や未踏の地の写真を,こうした定式化した芸術写真の脈絡から果敢に踏み出して撮影することも,写真表現の種々の面での独自性の認識が一般化するにつれ,しだいに行われるようになり,その際立った例としては,1930年代を中心とするE.ウェストンA.アダムズの風景写真をあげることができる。両者とも描写の克明なこと,トーンのととのえ方,構成の仕方などにおいて,絵画の影響からまったく脱却した写真独自のみごとな画像を作り出している。…

※「芸術写真」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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