解説原題はJournal of Horace Capron, Expedition to japan, 1871-1875 であり、開拓使御雇外国人頭取ケプロンの、明治四年から同八年に至る在日中の日誌である。日誌は離日九年後の明治一七年本人がまとめたものであり、一般の日誌とは形態を異にする。開拓次官黒田清隆の来訪を受け、米国農務長官の職を辞し、来日してから帰国するまでの詳細な記録であり、三度の北海道視察の記述をはじめ、東京での上流階級との交際や異国風土についての感想など興味深い。肉筆日誌の初訳で、簡潔な訳文と歴史的事実を裏付けるために加えられた注記の確かさも貴重である。