日本大百科全書(ニッポニカ) 「袋綴」の意味・わかりやすい解説
袋綴
ふくろとじ
室町時代から江戸時代を通じてもっとも普及した装丁法。料紙を中央から二つに折り、それを数枚ないし数十枚重ねて、折り目とは反対側の箇所、すなわち右側を上下二か所紙縒(こより)で下綴(したと)じし、前と後ろに表紙を添えて糸で綴じる方法である。右側の綴じ目から見て袋状になっているところからこのように称される。綴じ目が四つのものを「四(よ)つ目綴(めとじ)」、五つのものを「五つ目綴」という。中国では「四針眼訂法(ししんがんていほう)」「五針眼訂法」というが、「四つ目綴」は和本や唐本(とうほん)に多く、「五つ目綴」は朝鮮本に多い。袋綴は、古く「唐閉(からとじ)(綴)」(『貞徳文集(ていとくぶんしゅう)』上)とも称されているように、中国から影響を受けたもので、中国では明(みん)・清(しん)時代に盛んに行われた。
[金子和正]