訓読みを含む四字熟語

四字熟語を知る辞典 「訓読みを含む四字熟語」の解説

訓読みを含む四字熟語

四字熟語と言えば、中国語に由来するというイメージを持つ人は多いでしょう。「おんしん」しかり、「めん」しかりです。もしそうなら、四字熟語とは基本的に「音読みされることば」ということになります。

 音読みとは、昔の中国語で使われた漢字発音が、日本語式に変わったものです。たとえば、「草木」「桜花」という漢字は、音読みでは「ソウモク」「オウカ」となります。なんとなく中国語らしい響きが残っています。

 一方、これらの漢字を「くさき」「さくらばな」と読むのは訓読みです。こちらは、元からある日本語(やまとことば)を漢字の読みに使ったものです。

 四字熟語のうち、中国語から入ってきたものが音読みされるのは当たり前です。ところが、中には、四字熟語が訓読みされるケースもあります。

 訓読みされる以上、その四字熟語は日本語の中で生まれたと考えられます。例を探すと、けっこうあります。

 「かっおんがさはるよりしらかわぶね津津つつ浦浦うらうらかせあしかせ……」

 これらは、純粋に訓読みで構成されています。ためしに音で読んでみると、「トクシュショウシュ・ニュウボニッサン・ショウシュンニチワ……」となって、何のことだかわかりません。

 部分的にでも訓読みを含む四字熟語は、さらに多くあります。

 「あいエンエンあおいきいきおおバンぶるまいおかハチモクしたさきサンズンジュウニンいろジュウネンひとむかしセンヒッショウチュウハンレンくだときセツふたまたゴウヤクみっデンみっボウものサン……」

 今、音読みをカタカナ、訓読みをひらがなにしてルビを振ってみました。

 これでわかるとおり、私たちが普段、何気なく使っている熟語には、音読みと訓読みがまぜこぜになったことばが多いのです。こうしたまぜこぜ語を、専門的には「混種語」と言います。

 四字熟語を厳密に「中国語由来のものに限る」と決めると、多くのユニークなことばが抜け落ちてしまいます。日本語で生きる私たちは、訓読みを含む四字熟語も、ぜひ覚えておきたいものです。

 船に関する熟語のうち、「エツドウシュウ」は中国語由来、「しら∥白川よ∥夜ぶね∥船」は国産ですが、どちらも面白いエピソードを踏まえたことばです。音読み・訓読みで区別する必要はありません。

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