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越境汚染 えっきょうおせん trans-boundary pollution

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知恵蔵2015の解説

越境汚染

汚染物質が国境を越えて発生源から遠く離れた地域まで運ばれること。大気経由で汚染物質が運ばれることが多いが、河川経由や汚染物質を取り込んだ魚などの移動による汚染もある。ヨーロッパ諸国や北米では早くから越境汚染が問題となっており、酸性雨等の越境大気汚染の防止対策を義務付けるとともに、酸性雨等の被害影響の状況の監視・評価、原因物質の排出削減対策などを定めた「長距離越境大気汚染条約」(LRTAP:Convention on Long-range Trans-boundary Air Pollution)が1983年に発効している。日本では、これまで越境汚染は特に問題とならなかったが、近年、韓国や中国の目覚しい経済発展に伴って発生した多量の大気汚染物質偏西風などに乗ってくるのではと越境汚染が問題になりつつある。2007年春から夏に、西日本を中心にかつてない広い地域で光化学スモッグ注意報が発令されたとき、日本では汚染物質の排出が減っているので、環境対策が遅れている中国のせいではないかと大きく報道された。このため、国際的な観測ネットワークの構築や、汚染物質の発生と移動のメカニズムの解明、予測技術の向上などが緊急の課題となっている。

(饒村曜 和歌山気象台長 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

えっきょう‐おせん〔ヱツキヤウヲセン〕【越境汚染】

ある国で発生した汚染物質が、風や川の流れに乗って国境を越え、風下や下流の国々の環境を汚染すること。

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監修:松村明
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

越境汚染
えっきょうおせん

汚染物質が国境を越えて運ばれ、非発生国に被害をもたらすこと。代表例が酸性雨で、ヨーロッパではイギリスドイツなどの工業地帯を中心に多く排出された硫黄酸化物窒素酸化物によって、その地域だけでなく遠く離れた北欧の森林も大きな被害を受けた。同様にアメリカ五大湖周辺の工業地帯を発生源とする大気汚染により、カナダも酸性雨被害を受けた。大気汚染だけでなく、ライン川ドナウ川などの国際河川を通じた水質汚濁問題、海洋汚染も越境汚染の一種として知られる。
 日本では偏西風に乗って中国大陸から飛来する汚染物質が問題となっている。中国の急激な工業化に伴い、2007年(平成19)春から夏に、西日本を中心に光化学スモッグ注意報が発令された。2013年にも関東を含む広域で黄砂とともに汚染物質が飛来、超微粒汚染物質「PM2.5」がメディアなどで話題になった。2001年から日本の発案で設立された東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)が稼動しているが、欧米に比べて立ち遅れている国際的な観測ネットワークの充実、越境汚染を軽減するためのルールづくりが課題になっている。[編集部]

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