蹴倒(読み)けたおす

精選版 日本国語大辞典 「蹴倒」の意味・読み・例文・類語

け‐たお・す ‥たふす【蹴倒】

〘他サ五(四)〙
① 蹴って倒す。蹴ってころがす。
今昔(1120頃か)二三「彼の衆に走り懸りて、蹴(くゑ)倒さむと足を高く持上たるを」
② 支払うべき金銭を返さないで済ませる。負債代金を支払わないで済ませる。踏み倒す。また、買いたたく。
浄瑠璃双蝶蝶曲輪日記(1749)四「ヲヲ二八を蹴倒した。こりゃ膳廻りきつう奢(おご)るな」
③ 女性と関係する。婦人貞操を犯す。ものにする。
※歌舞伎・油商人廓話(1803)四幕「おいらは又色ぢゃ。松徳の岩野を蹴倒(ケタフ)したいわい」

け‐たおし ‥たふし【蹴倒】

〘名〙
① 蹴倒すこと。
※蛙のこえ(1952)〈大宅壮一〉角力今昔「当麻蹴速(たいまのけはや)は、その名の示す通り蹴倒しが得意だったらしい」
談義本・艷道通鑑(1715)五「惣本寺の島原新町よりかくのごとく正しからざれば、白人・呂州・茶女・臭屋(くさや)・間短(けんたん)・蹴倒(ケタヲシ)・夜発(やほつ)まで同じ習ひに移り行」

けり‐たお・す ‥たふす【蹴倒】

〘他サ五(四)〙 蹴って、人や物を倒す。けたおす。
温泉宿(1929‐30)〈川端康成〉夏逝き「彼女は母を蹴り倒し、父と組みつ転びつの大喧嘩をして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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